常識覆す「超ロング新幹線車両基地」札幌に誕生へ 型破りな「全カバー・全高架」車庫の全貌とは

1駅間分もある「細長い車両基地」なぜこうなった

 通常の車両基地といえば、留置線が何本も横並びにずらりと並行して広がっているイメージが強いでしょう。しかし細長構造の札幌車両基地は違います。札幌駅側から近い順に、車両を留置する「着発収容庫」、車両検査や融雪作業を行う「仕業検査庫」、保守用車両の整備・留置する「保守基地」と、複数の目的を持つ作業エリアが、進行方向に「直列に」並んでいるのです。

 札幌駅からは2本の線路が伸びて着発収容庫、仕業検査庫と続いて行き止まり。その隣に着発収容庫をバイパスする3本目の線路が伸び、仕業検査庫へダイレクトに車両を運ぶことができます。その3本目の線路はそのまま奥へ伸び、3本の線路へ枝分かれして保守基地となります。

 その中に入る新幹線の車両数は、「着発収容庫に2編成、仕業検査庫に2編成収容可能で、全体で4編成収容可能」(同)とのこと。やや意外だったのは、細長構造の収容庫内で、新幹線の「縦列停車」については「想定していません」とのことでした。

 このような細長い形状の車両基地になった理由については、鉄道・運輸機構によると「車両基地に必要となる面積や運用する営業主体の観点で検討し、札幌車両基地は札幌~苗穂間に高架構造で設置することが適切と判断しました」としています。

 ところで、苗穂駅には隣接してJR北海道の在来線車両を管理する「苗穂工場」や車両基地「苗穂運転所」があります。もしかして、新幹線の保守基地や検査庫を苗穂まで延々と引いてきたのは、これらの在来線工場・車両基地との設備・人員の兼ね合いを考えたものなのでしょうか? JR北海道の広報担当に聞いたところ「そのような意図はありません」とのことでした。
  
 札幌市の中心部に巨大な構造物が出現することになりますが、車両基地の外壁の色、素材については検討中としています。また、外から車両基地内の新幹線車両が見えるように窓を設置する計画については「現時点では想定していません」とのことでした。
 
 今後のスケジュールは、今年6月から工事に着手し、高架橋と防雪上家工事を2027年度までに完了させる予定。設備工事や検査、試運転を経て、2030年度末までの完成を目指すとしています。
 
【了】

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