「ヤーポン法は滅びるべきと考える」 単位の勘違いであわや大惨事 事故は日本の”夢の国”でも

原因は単純だがシャレにならないことだった!

 高度1万2000mで突如エンジンが停止した原因は事故調査の結果、ただの燃料切れという結論になりました。普通ならあり得ない過失は、モントリオールからエドモントンへのフライトに必要な給油量の計算の際に起きました。

 ちょうど当時のエア・カナダではヤード・ポンド法からメートル法へ移行する最中でしたが、必要な燃料量を算出する際に、モントリオールでの燃料残量7682リットルを質量に換算する際に、リットルとkgによる比重0.803を用いず、ポンドによる比重である1.77を式に計算してしまったのです。

 これにより、本来2万2300kgになるはずだった燃料が、1万116kgしか入っておらず、上空で燃料切れを起こしてしまい、墜落の危機となってしまったわけです。

 他にも、人工衛星の火星探査機、マーズ・クライメイト・オービター通信途絶事故も有名です。単位換算ヤード・ポンド法で計算していたものを、探査機の航行担当チームがメートル法と勘違いし、高度を上げすぎたためにおきた事故でした。

 また、日本では東京ディズニーランドでも。2002年にスペースマウンテンで走行中の後部車軸が破損し脱線した事故について、調査の結果、1995年9月に車両で使われる軸受の設計仕様がインチからメートルに変更されたものの、2002年10月に納入された車軸には古い図面が使用されていたため、事故が起きたと判明したことがあります。

 ちなみに、日本のネットでは、「ヤーポン法は滅びるべきと考える」という「カルタゴは滅ぶべきであると考える」という共和制ローマ時代の政治家マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(大カト)の言葉を改変したネットスラングもあるほどです。

 なお、イギリスではEU離脱を機に、標識などに伝統的なヤード・ポンド法を復活させようとする動きもあるようです。

【了】

【事故後の機体】前輪が折れて顔がこすれた状態(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

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1件のコメント

  1. なんてことだ。もう助からないぞ!