コスパ第一?「対戦車地雷」ウクライナが多用する理由 “戦車の大敵”と天秤にかける“戦後のリスク”
確実な地雷処理を目指すなら手作業がイチバン?
そこで、現実的かつ確実な処理方法として挙げられるのが、訓練を受けた兵士が1個ずつ地雷を無効化していく手作業での処理です。信管を掘り出し、ブービートラップ(アクチベート)化されていないか確認し、万一されていたとすれば、そのブービートラップも解除します。訓練を受けてさえいれば安全に除去できるのですが、人力で行うため、非常に時間が掛かります。
戦闘中の地雷処理であれば爆薬を用いて一気に誘爆させてしまうことも可能ですが、戦後であれば確実性も必要になるため、そうもいかない状況もあるでしょう。
また対戦車地雷の信管は、中心部分は120kgから250kg程度の圧力が掛からないと起爆しないのですが、信管の縁部分を踏んでしまうとテコの原理で信管中央に圧力が掛かるため、人間が踏んだ時に起爆してしまう恐れがあります。
では、いったいどうすれば対戦車地雷を安全に処理することができるのでしょうか。
たとえば陸上自衛隊の場合には、対戦車地雷を埋める場所を予め計画し、実際にどこに埋めたのかを地図上に記録・保管していきます。また、地雷と地雷の間隔も計算しているため、周囲数mの区画に何個の対戦車地雷が埋まっているのかも知ることができます。
つまり、陸上自衛隊ではたとえ大量の対戦車地雷を埋めたとしても、その全てを記録し保管します。これにより、戦後の安全化処理も非常にスムーズに進められるようになります。
そもそも、対戦車地雷であっても埋設場所さえ特定できれば処理は比較的容易です。一番の問題は、無計画に対戦車地雷を埋め、その場所を記録しないことなのです。
設置時の混乱や場所を記した書類の紛失など、様々な理由があるでしょうが、その結果として世界にはいまだに多くの地雷が埋まったまま放置されています。今回のロシアによるウクライナ侵攻でも、によってどれだけの対戦車地雷が埋められたのかはわかりませんが、一日も早い終戦と、確実な地雷除去が行われることを願うばかりです。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
ウクライナ軍は陸上自衛隊のように地雷の設置位置情報地図を作成していると思いますし、
ウクライナ戦争はネットワーク戦争と呼ばれて居ますから、
地雷の位置情報地図は周辺の部隊及びウクライナ軍本部にも共有されていると思われるから、地雷設置した部隊が全滅しても地雷設置情報が共有済みで把握している可能性が高いです
砲弾で空中散布する対戦車地雷も散布範囲散布数も記録して有る可能性が有ります
その為、場所が分かっているウクライナ側の地雷の撤去は比較的容易と思われます、
特に反撃する時にウクライナの戦車の邪魔にならないようにする必要がある為、地雷の詳細な位置が分かっていれば素早く進軍が可能になります
問題はロシア軍がいい加減に無計画に地雷設置する上、周辺のロシア部隊にも伝えてなく、
ロシアが設置した地雷でロシア戦車等が破壊されるなどの損害が度々起きている事で、
無計画に何も記録残さず仕掛けまくったロシア側の地雷処理が大きな問題になると想います。