高速バス=「追っかけの足」なぜ? バンドやアイドルファンの熱い支持 安さだけでない理由

“推し”がいるからこそ高速バス?

 なぜ“推し活”で高速バスを利用する人が多いのか、ウィラーは次のように回答しました。

「“推し”のグッズ購入などに費用をかけるため、交通費はできるだけ抑えたいと考える方が多いです。なるべく多くのイベントに参加したいので、交通費を節約しておきたいという方もいらっしゃいます」

「夜行バスの場合、深夜に移動するため、公演の最後まで楽しめます。他の交通手段だと公演時間次第では途中で切り上げて帰らなければいけないこともあります。また早朝に目的地へ到着するので、グッズ購入のために早朝から並びたい人には、メリットとして感じていただいています」

 新型コロナの影響で高速バスの利用者数は大きく減少しましたが、コンサートやイベントの制限緩和に伴い、回復しているとのこと。「わかりやすい特徴として、大規模会場でのコンサートのチケット当落結果が発表されると、それに合わせて、高速バスの予約も増える傾向」なのだそうです。

「WILLER TRAVEL」では、目的地からのコンサート会場別アクセス方法や宿泊プランを提示するほか、自社メディア「ウィラコレ」では「遠征民」なるタグを用意。コンサートの“遠征”で役立つ情報の紹介やオタク座談会、メルマガ連動のアンケート企画などを実施しています。「リアルな声を集め、今後も遠征される方の強い味方となるようなワクワクする企画を実施していければと考えております」(ウィラー)とのこと。

 なお、このような“遠征民”の多くは女性と考えられることから、ウィラーに限らず高速バスでは、“女性安心”をうたった座席の設定や、到着前後でメイクや着替えができるラウンジの設置など、数々の女性向け施策を打ち出してきています。

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高速バス「VIPライナー」利用者専用の「VIPラウンジ」。女性向け施策のひとつ(画像:平成エンタープライズ)。

 国の「全国幹線旅客純流動調査」でも、高速バスは航空や鉄道といった他の交通機関と比べても女性の比率が高いという統計がありますが、ウィラーにおいては利用者の7割を女性が占めます。“女性の遠征民”にとって高速バスが強い味方になっている――このような構図が浮かび上がってくるのです。

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