眺めは最高! 波にのまれた「西湘PA」3年半ぶり完全復活 嵩上げで“要塞化”災害に強く
全国のSA・PAのなかでもとりわけ海に近い西湘バイパスの西湘PAがリニューアルオープン。2019年10月の台風で高波にのまれ壊滅的な被害を受け、地盤を嵩上げするなど災害対策が施されました。
ドライブ好きのオアシス「西湘PA」完全復活
閉鎖されていた西湘バイパスの西湘PA(下り、神奈川県小田原市)が2023年4月29日(土)0時にリニューアルオープン。前日にNEXCO中日本東京支社が式典を催し、報道陣へ公開しました。
西湘PAは東名の由比PAと並び、全国的にもかなり海に近いPAです。ドライブがてら立ち寄り、SNSに写真を投稿する人も絶えません。
しかし2019年10月、台風19号の影響による20mもの高波が襲い、PAは壊滅状態に。通行止めをしていたため人的被害はありませんでしたが、下り線(海側)の通行止めは、延べ159時間15分に及んだといいます。
「あのときは西湘バイパスを襲う高波の様子が何度もテレビで放送され、住民の方も大きな恐怖を感じました」と、小田原市の守屋輝彦市長は振り返ります。
その後、仮設駐車場と仮設トイレ、自販機による仮営業を再開し、災害復旧工事に着手。2022年2月からはPAを完全閉鎖して工事を全面展開し、それから約1年2か月、被災からは約3年半を経て、満を持してのリニューアルオープンとなりました。
復旧工事の最大の特徴は、津波や地震を想定した地盤の嵩上げです。PA全体が約2.2m嵩上げされ、海面(T.P.)から10mの位置に。波返し擁壁も約2.4m嵩上げされています。PAの海側の擁壁から下を覗き込むと、かつて存在した遊歩道の痕跡や古い地盤があり、嵩上げの跡を見ることができます。PAの端も、若干海から離しているそうです。
また、建物や設備を海側から本線側へ集中配置。建物も海に面した開口部を極力少なくし、津波に耐えるといいます。建物の屋上も解放されており、海面から15mのところまで上がれます。
眺めサイコー! 食事は?
この屋上からの眺めも特筆モノです。真鶴半島から熱海、初島、大室山といった伊豆半島の各エリアを眺望できるほか、条件がよければ伊豆大島、その先の利島も見えるそう。
「(防災に関し)本当にいろいろな工夫がなされています。その過程を知っていただくことで、より安心できます。開設から半世紀を経て、親しまれる観光の拠点にしていきたい」(守屋市長)
ただ、被災前にあった売店や飲食店はなくなり、土休日にキッチンカーが来て飲食を提供するスタイルになりました。
守屋市長は幼少のころ、PAにアイスクリームなどを運んでいたお父さんの仕事についてきて、ここで食べるそばが何よりの楽しみだったそう。そうした固定の飲食店はなくなるものの、「キッチンカーならば週替わりのメニュー提供も可能で、バラエティも広がる」と期待を込めました。
【了】
コメント