「ド派手な政府専用機」広島サミットで来日? わざわざ塗り替えられたイギリス空軍機の正体とは
サッカーW杯の支援任務に就いたことも
このイギリス政府専用機「べスピナ」は、日本やドイツのように純粋な旅客機をベースするのではなく、「ボイジャー」と呼ばれるイギリス空軍の空中給油・輸送機A330-200MRTTを要人輸送に対応できるよう改造した機体です。
機内には国王や首相だけでなく、同行する政府関係者や運航スタッフ、報道関係者、経済代表団などの搭乗を想定して、ビジネスクラス 58 席、スタンダードクラス 100 席を配置。記者会見や会議用のスペースも設けられています。政府要人が使うため、飛行中でも情報を集め指示を出せるよう通信機能が強化されていると目されているほか、機体がミサイル攻撃を受けることを想定した防護システムも備えていると思われます。
なお、アメリカやインド、韓国などの政府専用機は、一目でその国の特別機とわかるデザインをしていることから、運航が行われる時は大きな話題になります。一方、オーストラリア空軍のA330-200MRTT (KC-30A)や、中国国際航空のボーイング747-8は、内部こそVIP(要人輸送)仕様になっているものの、専用の塗装は施されておらず、外観からは要人輸送に用いられる機体か否かは区別がつきにくくなっています。
前出のイギリス空軍「べスピナ」も巨大な国旗を垂直尾翼に配置し、側面には金色で「UNITED KINGDOM」と大きく国名が表示されるなどしていることから、一見すると要人輸送に特化した運用をしているように思えます。しかし、首脳の外遊がない時は軍用機として通常の人員輸送や戦闘機などへの空中給油任務に投入されています。
実際、2020年7月にはロシア軍機へのスクランブルに発進した戦闘機に対して空中給油を行っているほか、2022年12月にはサッカー・ワールドカップ(W杯)の警備支援でカタールに派遣され、同国空軍の「タイフーン」戦闘機に空中給油を実施しました。
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