ついに貫通「青崩峠トンネル」 三遠南信道で最大の難所 日本のトンネル技術が克服

また一つ“伝説”が生まれました。

「あまりの崩落の激しさに……」のトンネルついに貫通

 国土交通省 飯田国道事務所は2023年5月30日、長野と静岡を結ぶ三遠南信道の青崩峠トンネル(仮称)4998mが、26日に貫通したと発表しました。

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青崩峠トンネル静岡側(画像:飯田国道事務所)。

 長野・静岡県境に位置する青崩峠は、現道の国道152号も「車両通行不能区間」、つまり地図上で途切れた状態となっている箇所です。1980年代よりトンネルを通すことが計画されたものの、地形の厳しさや中央構造帯が通ることによる地盤の脆弱さから断念され、昭文社の地図の注釈では「あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」と書かれてきました。

 そこで、青崩峠の東側をバイパスする「草木トンネル」を建設し1994(平成6)年に開通しましたが、そこから北も断層帯などに阻まれ、ついに整備を断念。国道152号の一部となったこのトンネルの周辺には、高規格道路として全通を待っていた敷地や遺構が残っています。

 しかしトンネル技術の進展などから青崩峠の“正面突破”が改めて判断され、2019年にトンネル掘削がスタートし、4年を経て貫通。飯田国道事務所は「中央構造線の影響を受けた脆弱地盤が出現することに加え、土被りが600mを超えるという厳しい条件下での施工が必要とされましたが、土木技術の工夫と安全施工によりトンネル掘削が完了しました」としています。引き続き、トンネル内工事のほか坑口の改良、舗装などを進めていくということです。

 総延長およそ100kmの三遠南信道は約40kmが開通済み。そのほかの区間は全線事業化されていますが、開通めどが立っているのは現在のところ鳳来峡IC~東栄IC間7.1km(2025年度めど)のみです。

【了】

【地図/画像】ついに貫通した青崩峠トンネル

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コメント

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2件のコメント

  1. おめでとうございます。
    ついに日本土木会の悲願が達成されたんですね。

  2. 個人的に中部縦貫道と並んで注目の道路なので貫通は喜ばしいです
    本格的な開通も近づきそうで楽しみです