100年に1度のレア風景?「銀座線丸見え状態」渋谷駅工事で出現 最終形態どうなる

銀座線渋谷駅の西側で、車庫の引き込み線を覆っていた構造物がすべて撤去。青空の下に線路が長々と現れる、珍しい光景となっています。

束の間の完全撤去状態

 再開発が進み、風景が目まぐるしく変化する渋谷駅周辺。かつてシンボルのひとつでもあった「東急百貨店の中にあった銀座線渋谷駅」も今やありません。旧銀座線渋谷駅は、東急百貨店西館の解体がほぼ完了したあと、かつてホームがあった場所も長らく足場で覆われていましたが、ついにその姿を現しました。
 
2023年6月半ば現在、旧駅の足場が撤去され、渋谷駅から渋谷マークシティまでの車庫引き込み線が、まるごと「青空の下」になっているのです。

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構造物がすべて撤去され、丸見えとなった銀座線の電車(乗りものニュース編集部撮影)。

 渋谷フクラスの17階屋上「SHIBU NIWA」から見下ろすと、今までは見えなかった高架線の全景を眺めることができます。

 2本の線路のうち1本は大半が撤去され、マークシティの手前まで単線となっています。その脇の現場スペースには、新しい線路2本分のスラブ材が置かれています。おそらく夜間工事などで一気に線路を新しく入れ替える手はずでしょう。

 16時26分。マークシティ内の車両基地から出庫する電車が、のっそりとやってきました。6両編成の黄色と赤色で塗られた電車の「全身」があらわになっています。東側に移設された新ホームの手前で一旦停止。またのっそりと動き出し、29分の発車に向けて入線していきました。

「フクラスから見下ろす銀座線」のチャンスは、「SHIBU NIWA」が開放される11時以降、この1日1回だけ。渋谷の車庫を早朝・深夜以外に出入庫する運用はほとんどなく、朝夕ラッシュ時のピンチヒッター車両は、ほぼすべてが上野車庫で待機しているのです。かつては渋谷駅に到着した電車は必ず車庫へ引き上げて折り返していましたが、今や非常にレアな光景になってしまいました。

 この部分は今後どうなるのでしょうか。東急が公表している渋谷スクランブルスクエアII期事業のイメージパースを見ると、この高架線は新たに建設される「西館ビル」に"再び飲み込まれ"、やはりビルを貫通する形となるようです。

 銀座線の渋谷駅開業は1938年(昭和13)のこと。駅西側にこれだけ線路が露出するのは、85年目の歴史で初めてのことです。工事の進捗でふたたび足場がかかるのも時間の問題。まさに100年に1度だけの珍しい風景となっています。

 ちなみに昨年8月、東急百貨店の解体も大詰めに差し掛かっていたころ、銀座線の旧ホーム部では古いコンクリート構造物があらわになっていました。これは、1938年の銀座線・渋谷駅開業当時のもので、戦前の街の残滓が、束の間だけ令和の現代に顔を出していました。

【了】

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