ロボットvs人間「上野の駅そば」食べ比べてみた 無人店舗は味気ない? 重要なのは"旅情"か効率か
いっぽう昔ながらの「有人の駅そば」は…?
●「駅そば大江戸そば 上野9・10番ホーム店」
こちらは食券を買って店員に渡し、「どうぞ」と置かれるまで1分30秒。解凍でないというのが速さの強みでしょう。かきあげそば(470円)を食べました。セルフ駅そばにもあった「ちくわ天そば」は490円で、比較すると全体的に安い価格です。
気になる「つゆと麺の味」ですが、やはりこちらもどうこう言うものではないでしょう。普通に美味しいです。麺のコシはセルフ駅そばのほうがあったかもしれません。そこは逆に冷凍食品の強みな気がします。いっぽうネギはシャキシャキ。さらに七味唐辛子が店内に備えられています。
そして器は、やはりこれだ、しっかりしている……と思ったのですが、意外と「どっしり」しているわけでは無いことに気が付きました。形状はどんぶりですが樹脂製の軽い器で、指ではじくとコツンコツンと鈍く軽い音がします。器に抱いていた「旅情」は、幻想が勝手に膨らんでいたのかもしれません。
店内には調理の湯気がただよい、つゆの香りとともに「飲食店」の空気を醸し出しています。店員が慌ただしく動く様子が横目に入り、無意識に「店で食べている」と感じさせます。この無意識に入っている五感のいろいろな情報が、「セルフ駅そば」との違いのひとつでしょう。
食べ終わって返却口に置き、退店しようとしたところ、年配の女性店員の声が。ありがとうございました。お気をつけて――これがセルフ店との最大の違いかもしれません。
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駅そばの一番のポイントを「とりあえずすぐ食べられること」とした場合、有人の駅そばは「1人あたりにかかる時間が短い」「安い」という面でセルフ駅そばに勝っているといえそうです。しかし配膳時間や価格の差も今のうちで、技術革新が進めば互角になっていくかもしれません。
それ以外の違いは、単なる「見慣れないものへの違和感」が生んでいるようにも思えます。
【了】
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