ロボットvs人間「上野の駅そば」食べ比べてみた 無人店舗は味気ない? 重要なのは"旅情"か効率か
上野駅の常磐線ホームに、無人の駅そばブースが出現しました。これまでの有人店舗の駅そばと、何が違うのでしょうか。「無人なんて味気ない」という声もありますが、はたして。
駅そばにも「無人店舗」の時代がやってきた!?
上野駅の常磐線ホーム(11・12番線)に2023年6月20日、調理機能付きの自動販売機を活用無人の駅そばブースが出現しました。冷凍された在庫を注文に応じて解凍・加熱調理し提供するもので、精算から注文・受け取りまですべてセルフで行われます。
「いよいよこんな時代が来たのか」といった声も見られたこの取り組み。すぐ向かい側のホームには、昔ながらの有人の駅そば「大江戸そば」が健在です。2つの店で食べ比べて、その違いを確かめてみました。
●「セルフ駅そば 上野常磐ホーム店」(11・12番線)
11時半前に入店したところ、店内の行列は4名。タッチパネルを押し、ICカードで精算して、調理を待ちます。1人あたりにかかる時間は、人の入れ替わりと機器の調理準備に1分、客の精算に30秒、調理に1分30秒で、おおよそ3分といったところでした。タッチパネルの操作に慣れない人は少しまごつき、さらに1分ほど長くなります。
メニューは「たぬきつねそば」550円、「紅しょうが天そば」680円、「ちくわの磯辺天そば」630円、「柚子胡椒香る豚肉そば」730円。今回は紅しょうが天そばを食べました。
プラスチック製の器は取っ手があり、熱さを感じることなくテーブルまで持ち運べます。さらにビニール蓋でパウチされているので、うっかりこぼす心配もない親切設計でした。
食べ終わると行列は8人になっていました。1人あたり速くて3分はかかるので、最後の人がありつけるのは24分後になりそうです。
気になる「つゆと麺の味」ですが、普通に美味しいです。もとより駅そばは素早さも重要ですから、味のこだわりをどうこう言うのは野暮というものでしょう。
といっても、いろいろと特徴があります。まず、ネギがフリーズドライで、「フリーズドライのネギの味」がします。好きな人は好きですし、違和感を持つ人がいるかもしれません。いっぽう、紅しょうが天は冷凍食品というイメージを超える美味しさでした。
むしろ、「駅そば」とは違うな…と感じた大きなポイントは、「器がプラスチック製」ということでした。両手でかかえると、手の微妙な力でたわみ、つゆが波立ちます。「ドン!」とテーブルに置いて、しっかりかかえて一気にすする、それが旅の情景の一部であり、あの器への安心感がありがたかったような気がします。もっともドライブインの昔ながらのセルフそばも同様の形。単なる慣れと言われればそこまでなのかもしれません。
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