動きだすか京阪中之島線「九条延伸」構想 凍結された夢洲アクセス 地下鉄乗換でIR需要を取り込める?
コロナ前に「地下鉄をまず夢洲へ」が決まってしまった
事態が変わったのは2014年になってからです。大阪府と大阪市が夢洲でのカジノなどのIRの整備構想を打ち出しました。翌年には夢洲での万博開催構想も浮上します。
大阪市は、夢洲へのアクセス鉄道整備について比較検討に入りました。地下鉄中央線延伸、JR桜島線延伸、そして京阪中之島線延伸の3案です。中之島線の延伸線については、中之島~新桜島~舞洲~夢洲間約11kmが示されました。新桜島~夢洲間は北港テクノポート線計画を引き継ぐイメージとなります。
夢洲と大阪都心・京都が直結される点が評価されましたが、事業費に3500億円かかる上、用地取得が必要になるため万博とIRの開業に間に合うか懸念されました。最終的に、府と市は地下鉄中央線の夢洲延伸を先行させることにしました。
これに対し京阪は、独自に中之島線延伸構想を検討し、2017年7月、メディア向けに中之島~九条間2kmの整備構想を示します。九条駅で地下鉄中央線と接続し、地下鉄経由で夢洲の万博・IR会場へとつなげようというものでした。
ほかにも九条駅からJR西九条駅までさらに1km延長すると報道されたこともあります。JR桜島線と大阪環状線との接続を意図したものです。中之島新線と地下鉄中央線とで相互直通運転も検討するとの発言もありました。
京阪HDは、2018年5月の長期戦略構想で湾岸地域への延伸への意欲を示します。2019年3月期決算で最高益を記録し、課題であった鉄道事業もようやく回復し始めました。2025年の大阪・関西万博には間に合わないので、夢洲~中之島間でバスを走らせることになりました。
ただ、国による夢洲IRの認定が先送りされたうえに、コロナ禍もあり新線構想の議論は止まります。
そして2023年、京阪HDは、IR認定を受け再び九条駅検討を始めました。開業はIRオープン直後の2030年ころを想定し、2023年度末までに延伸の可否を決めたいとしています。
実現すると、観光列車の運行も検討されているようです。京都と中之島線を直通する3000系快速急行が再び復活するのでしょうか。大阪メトロ九条駅との乗り換えがどれだけ便利になるのかがカギになると思います。九条駅では阪神なんば線とも連絡しますし、尼崎・西宮・神戸方面への新しいルートにもなります。両社の提携も期待したいですところです。
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