“こぶとりじいさん”みたいな軍用機なに!? 異形のイタリア空軍G550が初来日 こぶの中には何がある?
“こぶ”の実力は?
筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は2018年2月に開催されたシンガポールエアショーで、G550 CAEWのクルーにお話をうかがいました。
G550CAEWの前はE-2Cに搭乗していたそのクルーは、「レーダーによる探知能力はE-2Cと遜色がないし、軍用輸送機のC-2をベースに開発されたE-2Cと違って、ビジネスジェット機をベースに開発されたG550CAEWは、ちゃんとしたトイレや休憩スペースが標準装備されているので、長時間の飛行任務におけるクルーの肉体的負担が少ない」と話していました。
同機に搭載されている“こぶ”のEL/M-2085レーダーは、機体各部に分散配置されているため、360度全周の監視能力はE-2CやE-3に搭載されている円形レーダーに比べると劣るようですが、コンピュータによってレーダービームを制御し、いつでも空間内の任意の方向にレーダービームを向けることができるため、遠距離目標の補足と特定能力では勝っているとも言われています。
なお、イタリア空軍への採用は、イスラエル航空宇宙軍がイタリアの航空機メーカーであるレオナルドが開発したM-346練習機を採用した見返りであるという話もあります。
イタリア空軍は2機のG550CAEWを保有していますが、2機しかない早期警戒機のうちの1機を日本に派遣してきたあたりにも、イタリア空軍の今回の共同訓練への意気込みが感じられると筆者は思いました。
【了】
※誤字を修正しました(8月8日11時23分)。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
コメント