国会議事堂付近に秘密の線路? 東京メトロの「路線図にない線路」その目的は

東京メトロには「路線図にない線路」がいくつかあります。あまり知られていませんが、中央官庁が立ち並ぶ「日本の中枢」の地下を通る線路もあります。

「日本の中枢」の地下を通る単線トンネルも

 東京メトロには「路線図にない線路」がいくつかあります。路線図を見ると直接つながっていないように見える有楽町線と千代田線、有楽町線と南北線、銀座線と丸の内線の間には連絡線があり、車両が行き来することができます。どのような目的で使われているのでしょうか。

Large 230324 norimono 01

拡大画像

南北線の車両(画像:写真AC)。

●8・9号連絡側線
 有楽町線(8号線)の桜田門駅と千代田線(9号線)の霞ケ関駅の間には、「8・9号連絡側線」と呼ばれる578mの単線トンネルがあります。この連絡線は、国会議事堂や外務省、国土交通省などの中央官庁が立ち並ぶ地下を通っています。基本的には、有楽町線・副都心線・南北線の車両が、千代田線の沿線にある東京メトロ綾瀬工場で重要な検査を受ける際に通過します。かつては小田急線と有楽町線の新木場駅を結ぶ特急「ベイリゾート」が、この連絡線経由で臨時運行されたこともありました。

●市ケ谷駅連絡線
 市ケ谷駅の構内には、南北線と有楽町線を結ぶ連絡線があります。場所は皇居の外濠の真下で、主に南北線車両が綾瀬工場に出入りする際に使用されています。南北線の車両は綾瀬工場に入場する際、この連絡線を経由して有楽町線に入線。先述の8・9号連絡側線も通って綾瀬工場に向かいます。ちなみに、埼玉高速鉄道も重要な車両検査は東京メトロに委託しているため、南北線と同じルートで綾瀬工場に出入りします。
 
●赤坂見附駅連絡線
 赤坂見附駅の池袋・浅草方には、銀座線の車両が丸ノ内線に入るための連絡線があります。主に銀座線の車両が、丸ノ内線の中野車両基地に併設されている中野工場で重要な検査を受ける際に使用されています。ちなみに、丸の内線は銀座線よりも車体が大型で、丸の内線の車両が銀座線に入ることはありません。また銀座線と丸ノ内線は、レールから電気を取り入れて走る「第三軌条」と呼ばれる方式のため、架線から集電する他路線と直通することはできません。
 
※ ※ ※

 東京メトロ各線にはそれぞれ車両基地がありますが、車両から機器を取り外す「全般検査」など、大がかりな検査が可能な車両基地は限られています。有楽町線や南北線、銀座線は、線内の車庫でそうした検査ができないため、先述の連絡線経由で他線にある車両工場まで回送されているというわけです。

【了】

【これが東京メトロ「秘密の連絡線」です】

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。