北海道・四国はボロボロ…国鉄なぜ「6つに分割」された? “葛西プラン”と驚異の「13分割」案

1987(昭和62)年に国鉄は分割民営化され、JR旅客6社とJR貨物になりました。北海道や四国は苦境が続きますが、そもそも分割方法に問題は無かったのでしょうか。分割に至る当時の背景を振り返ります。

分割の参考になったのは電力会社

 国鉄分割民営化の議論は、1980(昭和55)年に成立した「国鉄再建法」のもと行われた運賃値上げや人件費削減、赤字ローカル線の廃止などを中心とする再建計画と並行して始まりました。

 1981(昭和56)年に発足した「第二次臨時行政調査会」は行財政改革の一環として国鉄、電電公社、専売公社の民営化を議論し、「国鉄を7ブロック程度に分割」「分割は答申後5年以内に速やかに実施する」「当初は国鉄現物出資の特殊会社とし将来逐次持株を公開し民営化を図る」など経営形態の変更を答申しました。

 ここで興味深いのは、民営化からの分割ではなく「分割からの民営化」を基本線として進んだということです。これを後押ししたのは「経営形態は単に民営化にとどまらず、分割してこそ『国鉄再生』はある」と主張した元運輸官僚の交通評論家・角本良平といわれています。

 角本は臨調のヒアリングに対して「地域に密接した判断を可能にさせるためには、地域分割が必要である。九電力程度でも少し大きすぎる」と述べています。「九電力」とは1951(昭和26)年に電力国家管理体制を再編し、東京電力や関西電力などお馴染みの民営電力会社9社を設立した事例を指しており、国鉄民営化にあたっても参考とされました。

 角本案が9以上とした分割法が答申では7ブロック程度になったのは、臨調の中心人物である瀬島龍三とパイプを築いていた、JR東海名誉会長の葛西敬之(故人)の影響が大きかったようです。

 彼は自著で最終的な旅客6社分割案は「1981年、私が第二臨調担当調査役として着任してすぐ、少人数の非公式研究会をスタートさせた時点で描いた分割方法と基本的に同じであった」と述べており、議論の流れをリードした可能性があります。

 一方、JR西日本元会長の井手正敬は若手管理職との私的な勉強会で、分割民営化は実現可能かなどを議論して「本州9分割を含む全国13分割の再建案」をまとめていたようで、様々な考え方があったのは確かでしょう。

 分割民営化論に反対する国鉄「守旧派」はどのように考えていたのでしょうか。ジャーナリストの牧久によれば、彼らはレールがつながっている本州・九州の非分割さえ守られれば、「北海道、四国については国の政治的判断で分離・独立もあり得る」と考えており、田中角栄もこれに同意していたといいます。

 建設中の青函トンネル、本四連絡橋が完成すれば北海道・四国ともレールはつながるはずで、これをどのように考えていたのかは分かりませんが、鉄道の地位が低下する中で、もはや国鉄単体では北海道と四国を支えることはできないと考えていたのかもしれません。本州の分割の仕方はいくつかの議論があっても、どの立場にも共通するのは「北海道と四国を切り離す」ことでした。つまり分割が浮上した時点で、JR北海道とJR四国の誕生は既定路線だったということになります。

【画像】実現してたかも!? 驚異の「国鉄13分割案」どんな分け方だった?

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