驚愕の電車遅延対策「停車駅を臨時で通過します」なぜ許される!? 超強引な「定時到着」しないとヤバイ理由とは

電車の遅延を取り戻すため、停車予定だった駅を急遽「通過します」。日本ではあり得ないやり方ですが、イギリスではごく日常風景のようです。なぜそんなことが許されるのでしょうか。

「臨時通過」してでも定時運行しないといけない「ヤバイ線路事情」

 大胆な手法を取って遮二無二遅れを取り戻したのは、空の旅へと発つ乗客たちを遅延なく無事に送り届けるためだけではありません。遅延が終点近くで「取り返しのつかない事態」を招くおそれがある、深い事情があります。

 先述の路線は「鉄道狂時代」と呼ばれた1840年代に敷設の、由緒ある路線です。現在のようにガトウィック空港へのアクセスや、各交通の集中する主要ターミナル駅ロンドン・ビクトリアを抱えることは想定しておらず、パンク状態になっているのです。約200年前にすでに複線化、19世紀末にどうにか複々線(線路4本)に拡張しましたが、線路脇はどこも建物が密集しているため、これ以上の拡大は望めません。

 致命的なのが、ロンドン・ガトウィック空港~ロンドン・ビクトリア間のイースト・クロイドン駅周辺がボトルネックになっていること。実はイースト・クロイドン駅周辺の鉄道利用者は、国際列車ユーロスターが発着する欧州大陸への玄関口「キングス・クロス/セント・パンクラス駅」と、長距離列車のターミナル「ユーストン駅」の乗客数を足したよりも、遥かに多いのです。

 サザンの親会社、ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイの広報チャールズ・ヒンクリー氏は「英国で最も過密な運行スケジュールに喘いでいる区間だ」と指摘します。平日は一日あたり約1600本、平均で55秒に1本の列車が走り抜けるといい、ダイヤにほとんど隙間はありません。

 英国は設備と運行を別会社が運営する「上下分離方式」が主流。同区間は国内路線の大半を管理する「ネットワーク・レイル社」が所有しており、各列車は同社から割り当てられた「タイムスロット」どおりに通過することとなっています。

 それゆえ、遅延によって事前のタイムスロットどおりにここを通過できないと、次に走行可能なスロットをもらうチャンスはだいぶ先となり、大幅な遅延となってしまいます。さらに玉突き状態で次々に遅延が発生し、1本の電車の遅延で同路線を使用する全社のダイヤに影響していきかねません。

 というわけで、19分の遅延を巻き返さないままイースト・クロイドン駅のボトルネックに突っ込んでしまった場合、直接・間接的に被害を受ける人は膨大な数になってしまいます。一方、飛ばした8駅に乗降できなかった利用者の数は、せいぜい約100から140名。この”少人数”を犠牲にすることで、ほかの多数の鉄道利用者の不利益を防ぐことができたのだ――と割り切っているわけです。

【画像】えっ…これがカマボコみたいな「世界最古の地下鉄」です

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