驚愕の電車遅延対策「停車駅を臨時で通過します」なぜ許される!? 超強引な「定時到着」しないとヤバイ理由とは

電車の遅延を取り戻すため、停車予定だった駅を急遽「通過します」。日本ではあり得ないやり方ですが、イギリスではごく日常風景のようです。なぜそんなことが許されるのでしょうか。

「通過します」驚きの発生状況 世間は

 似たような遅延回復策は英国全土でよく行われています。イギリス鉄道規制庁のリサ・オブライエン氏によると、2023年1~3月期だけで、3万3124件もの駅通過が発生したといいます。

 こうした措置が取られる際、車内アナウンスで事前に通知することが多いのですが、それが乗客に手助けになるとも限りません。自分が降りる予定の駅が急遽通過予定になったとして、手前の駅で降りて後続の電車を待っても、後続電車が遅延回復でその駅を通過してしまうかもしれません。後続列車に期待した方が良いのか、それとも乗り越して引き返して来た方がいいのか。その肝心の情報が無いので、乗客は究極の選択を迫られます。

 駅を飛ばすと言う遅延回復策は、事前策定されたアルゴリズムを参考にしつつ、従業員が状況を見極めて「瞬時に決断している」とネットワーク・レイル社の広報トレーシー・オブライエン氏は説明します。熟練した従業員の判断とは言え、どうしても偏りが発生することも。あまりにも色々な電車に通過され続け、すっかり「陸の孤島」になってしまっている駅が発生しないよう、ソフトウェアが補って監視します。

 遅延に全乗客を等しく巻き込むのか、それとも、一部の乗客に不便を強いても大多数の乗客を優先するのか。英国内でも賛否両論あります。

 それでも「外科的手術が施せない世界一古い鉄道網の”動脈瘤”を破裂させずにどうにか運行し続けるためには、仕方がない措置だ」と、今回取材した鉄道関係者は口を揃えます。難しい選択を迫られるのは乗客だけではないのかも知れません。

【了】

【画像】えっ…これがカマボコみたいな「世界最古の地下鉄」です

Writer:

アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。

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