やっぱ“わき見”? 道路中央のワイヤーロープで事故多発 世界の非常識「暫定2車線」区間の新たな対策とは
ロープなかったらヤバかったですよ、マジで。
暫定2車線区間の安全対策「ワイヤーロープ」以外の対策も
「【接触注意】最近、高速道路では、片側1車線区間の中央帯ワイヤーロープへの接触事故が多発しています」
NEXCO東日本東北支社が2023年8月8日にこのような注意喚起をSNSで発信しています。そこでには、ロープに接触して停車している事故車と、支柱が倒れながらもロープは緊張状態を保っているワイヤーロープを捉えた写真が添えられています。
このワイヤーロープは、暫定2車線高速道路の対面通行区間における安全対策として導入が進んだもので、対向車線にはみ出した正面衝突など、重大事故を防ぐ目的で設置が進んだものです。写真の事故車は、ワイヤーロープがたわんで対向車線へのはみ出しを防いだものと思われますが、もしロープがなかったら、大惨事になっていた可能性もあります。
中央分離帯のワイヤーロープは、2022年11月までに約1430kmの設置が済み、対向車線への飛び出し事故は2016年度の194件から、以降の約6か年(2022年11月まで)の合計で13件という水準まで激減しました。
ただワイヤーロープには、長大橋梁やトンネル区間には設置できないという課題があり、未だ対向車線へのはみ出し対策が施されていない箇所も少なくありません。これは、長大橋の場合は路面下に床版(舗装が載る道路の床板部分)が、トンネルでは中央の路面下に排水溝などがあり、ワイヤーロープの支柱を深く打ち込めないためです。また、土工部と比べて路肩や中央部の幅が狭いという課題もあります。
そこで、NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)はこれら区間の新たな対策として、鋼管でできた柵状の「センターパイプ」、細長いコンクリートの壁状の「センターブロック」を順次導入していくと8月に発表しました。
不注意ドライバーには注意喚起しかない? 増える接触事故
しかしながら、今回のSNS発信のように、既存のワイヤーロープへの接触事故が増えているという課題もあります。その数は、2018年から2022年11月までで6257件に上っています。
これを受け、道路資材メーカーのアークノハラが開発した、ワイヤーロープに反射材を張り出して目立たせる「サイドウィング」反射材など、既存のワイヤーロープのための安全用品も登場しています。
前出のSNS投稿で、NEXCO東日本東北支社はこう続けています。「片側1車線道路を通行する際は、片側2車線区間よりも道幅も狭くなるため、速度超過やわき見運転には十分注意し、安全運転を心がけましょう!」--
ワイヤーロープへの接触事故はドライバー側の不注意という側面が大きいでしょう。こうした啓発によっても、暫定2車線区間の事故を減らす対策が進んでいるようです。
ちなみに、暫定2車線区間は全国の高速道路の約4割を占め、これは「諸外国にも例を見ない」状況だと国土交通省は説明しています。こうした区間は正面衝突が発生しやすいうえ、いちど事故が起こると車線に余裕がないことから通行止めになりやすいことが問題視されていますが、4車線化に至るケースはごく一部にとどまっています。
【了】
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