「効き」と「持ち」を両立! トーヨータイヤから新登場したトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を雪上試乗。その性能と進化した実力をチェック!

思った通りに車両を動かせる「M939」の雪上性能

 このように新機軸が多数盛り込まれたトラック・バス用タイヤ「M939」は、まさにトーヨータイヤの自信作ともいえるニュータイヤです。そこで同社は、2023年2月に一足早く「M939」の雪上試乗会を実施しました。トラック・バス用タイヤの事前試乗会は同社でも初めてとのこと。「M939」にかける、トーヨータイヤの意気込みを感じました。

 昼でも氷点下という北海道ルスツリゾート(留寿都村)のクローズド・テストコースに赴くと、そこには「M939」、従来モデルの「M929」を履いた4tクラスのトラック・日野レンジャーが用意されていました。

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雪上試乗を体験した筆者(左)と、M939開発メンバーのTOYO TIRE株式会社 技術開発本部 TBタイヤ開発部 一柳友洋さん(右)。

 車両総重量は約8t、最大積載量は約2.7tで、荷台にはおおむねその半分のデッドウエートを搭載しています。トランスミッションはMTです。比較のため、「M939」・「M929」装着車共にイコールコンディションに整えられていたのはいうまでもありません。

 コース上にはパイロンが置かれており、発進後加速して急制動、再発進ののち8の字旋回を行い、性能を確認できるようになっていました。路面は圧雪状態で凍結はしていない、という状態です。

 まずは従来モデルの「M929」を履くトラックに乗り込み、一通りのプログラムを終えてから「M939」の性能を試します。「M929」でも発進・急制動、旋回時には十分な性能を見せてくれましたが、「M939」では、発進時からタイヤが雪上路面に駆動力をしっかり伝えてくれている感覚がありました。

 そのまま30km/hまで加速し、フルブレーキングをした際も、ブレーキを踏んだ瞬間にもググっとタイヤが雪を捉えるイメージで、滑っている感覚もなくトラックが停止しました。

 再発進して左にステアリングを切り、8の字旋回に入ってアクセルをオンにすると、「M929」では後ろから押されるような感覚とともに、車体がわずかにコーナーの外側に流れてしまいます。それに対し、「M939」を履いたレンジャーは、前輪が外に膨らみにくく、後輪も路面にトラクションを有効にかけているため、思い通りのラインをトレースします。思ったとおりに車両が動きやすくなっているため、ひとことで言えば「こわくない」のです。

積雪が多いエリアでも疲れにくく

 この「こわくない」ことは、疲れにくさにつながります。積雪が多いエリアでは、ずっと氷雪路を走り続けないとならない場合もありますが、そのとき、どんな場面でも自分の手足のように車両が動き、コーナーで気を遣う回数が減れば、ドライバーの疲労は確実に減っていきます。道幅に対して占める幅の割合が大きなトラックでは、思った以上に繊細な運転が要求されますので、コントローラブルなスタッドレスタイヤ「M939」なら、ドライバーが疲れにくいという効果も発揮されるのではないでしょうか。

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「M939」を履けば、積雪が多いエリアでの運転も疲れにくい。

 現地に来ていたトーヨータイヤのスタッフは、「こわくない」という感覚は重要なファクターだったといいます。それを実現するために、「M939」開発の際には試作と試走・微調整の繰り返しだったそうです。その苦心と努力は、確かに製品に結実しているように感じました。

 変動する時代に合わせたアップデートを行い、高い雪上性能と耐摩耗性を高次元でバランスよく備えた「M939」。中型・大型トラック用に17.5、19.5、22.5インチ径を展開し、全13サイズが用意されます。雪道走行が多いエリアはもちろんのこと、雪が多くないエリアのユーザーにも強くオススメしたいタイヤです。

【了】

【画像】トーヨータイヤから新登場したトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を雪上試乗した様子

Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。

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