日本が作った「世界最速のエレベーター」その驚きの速さ 実現に新幹線のノウハウも 破れるかは“建物次第”なワケ
騒音対策に高速鉄道の技術
そもそも速いエレベーターを作る場合、かご(搬器)を吊るロープの軽量化や、巻き上げ機に搭載されたモーターの出力大型化などが必要です。しかし、分速1260mというスピードを実現するにあたって大きなカギとなったのは、そのスピードに対応できる安全装置や制御装置の開発だったといいます。
エレベーターは人を運ぶ機械のため、トップスピードから急に止まるわけにはいきません。クルマのエンジンブレーキを効かせるように徐々に減速し、最後に、ロープの巻き上げ機のブレーキでロープを挟み込んで止めます。日立ビルシステムは以前、「自転車のリムブレーキでタイヤを挟み込むようなイメージ」と説明してくれました。
そのようなスピードでも、かごの中はあくまでも快適でなければなりません。それを実現するため、揺れや騒音を抑える装置や、気圧の制御など、快適性を支える技術に新機軸が多く盛り込まれているといいます。垂直方向にかごの走行を案内する「ガイドレール」が設けられているほか、かごの四隅でそのレールに接する「アクティブガイドローラー」と呼ばれる装置が、感知した振動を打ち消す働きをするとのこと。また、急激な気圧の変化による耳詰まりを軽減するため、かご内の気圧も制御しているのだそうです。
加えて、かごの形にも工夫が。通常の箱型ではなく、上端と下端が丸みを帯びた「流線型」にすることで気流を受け流し、気流の乱れによる騒音を抑制しています。これは日立グループがもつ、新幹線をはじめとする高速鉄道の製造ノウハウも反映されているのだとか。鉄道車両の先頭形状を参考に、風洞実験をくり返して最適な形状にしたとのことでした。
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