旅客機「重量級の団体が固まって乗ってもバランスが崩れない」のはなぜ? 小型機だとある“体重測ります”

「ヘビー級の団体客」や貨物はどう対応?

 なお、たとえば相撲取りなど、標準乗客重量を適用出来ないような団体乗客については、実測、もしくは体重の申告が必要です。なお、これは、乗客座席数が30席未満の機体でフライトする場合は、個人乗客でもこのケースが適用されるとのことです。

 航空会社が出発前、定められた座席に着席するよう呼びかけているのも、この重量バランスが崩れないようにするためというのも一因です。また、一部航空会社ではベルトサインが外れたあと席移動ができるケースもありますが、特段の事情がない限りは、その旅客が席を移れる範囲も、数ブロックに分けられた客席の区画「コンパートメント」のなかでのみ認められている場合が多いです。

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ANAの機内。このときは新型コロナ感染拡大下であったため、空席が多かった時期(乗りものニュース編集部撮影)。

 また、航空会社では、この重心のコントロールを行うための専門スタッフを配置し、フライトごとに調整を行っていることが一般的です。

 この「ロードコントロール」を行うスタッフは、フライト前に客室はもちろんのこと、搭載される航空貨物も含めた重量とバランスをコントロールし、最終的に出たデータをパイロットに送ることで、飛行中のバランス崩れが起こらないようにしています。この重量・重心計算はフライト前に必ずしなければならない項目のひとつで、過去にはこのシステムの不具合で、欠航が発生したケースも存在します。

 こういった取り組みのため、たとえば客席の一区画にヘビー級のアスリートが座っていたとしても、旅客機の運航の安全性は確保されています。

【了】

【写真】実はあります! 旅客機の「ヘビー級専用シートベルト」

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