史上最大「ジャンボジェット」火消し機どこへ? 相次ぐ山火事「空中消火機」のいま
山火事の多いアメリカにはボーイング747やDC-10といった大型旅客機を改造した消防専用機が存在します。これらはどのような経緯で生まれたのか、そしてどれぐらいの水や消火剤を積めるのでしょうか。
アメリカとオーストラリアを行ったり来たり
DC-10空中消火機は、幅91m、長さ1600mの範囲に消火剤を散布する能力があるそう。これはS-2空中消火機の12機分の能力に匹敵するとのことで、この優れた散布能力を活かす形で、DC-10タンカーは地元カリフォルニア州だけでなく、ワシントン州の消火活動にも出動しています。
また2009年12月には、911号機がオーストラリアのメルボルンに派遣され南半球の山火事シーズンに備えました。その後、2015年からは北半球の山火事シーズンが終わるとオーストラリアへ派遣され南半球の夏をシドニー郊外のリッチモンド空軍基地を拠点に活動するパターンが定例化します。
この派遣は、南半球の夏が終わると再びカリフォルニアに戻り北半球の山火事シーズンに備えるパターンであり、まるで渡り鳥のような活動形態ですが、これは南半球と北半球で山火事シーズンがずれていることを利用した効率的な運用方法で、テン・タンカー・エア・キャリヤ社が大型機による空中消火機事業を軌道に乗せることができた大きな要因といえます。
ボーイング747ベースの「スーパータンカー」が姿を消した今では、このDC-10改造機たちが世界最大の空中消火機であることは間違いありません。
マウイ島の大規模火災では派遣されていませんが、アメリカの山火事におけるDC-10タンカーのような大型空中消火機の必要性は、今後増すことはあっても減ることはないでしょう。ひょっとしたら今後ますます3発ないし4発旅客機を転用した大型の空中消火機が増えるかもしれません。
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