史上最高額! 自衛隊の新艦種「イージス・システム搭載艦」ついに動き出す 最強の武装 乗員は“個室”!!
乗員室は「個室化」 神設備も
イージス・システム搭載艦の船体規模について詳細は明らかになっていないものの、防衛省の資料によれば、アメリカ海軍が整備中のアーレイバーク級駆逐艦(フライトIII)の1.7倍とされていることから、単純計算で基準排水量は1万1900トン程度となります。この数値を鑑みると、既存のイージス艦である、まや型護衛艦(基準排水量8200トン)より大きくなることは間違いないでしょう。このため搭載するVLS(垂直発射システム)の数は128セルと、まや型護衛艦の96セルに比べて増えています。
防衛省は船体が大型化した背景として、「多様なミサイルの脅威に対し常時持続的に対応するため、稼働率の向上をはじめ、荒天時の気象・海象でも影響を受けにくい耐洋性、艦艇乗組員の居住環境などの改善、将来装備品を搭載できる拡張性などの要素を総合的に考慮した結果」と説明しています。
実際、艦艇乗組員が長期間、洋上勤務になること想定し、居住性を向上させるため個室化を図っていく方針で、各部屋にはWi-Fiが設置される予定だとか。一方で、乗員数は省人化に対応できる設備を整えることで、既存のイージス艦の300人から240人まで減らす予定です。
船体には電磁パルス攻撃(HEMP)に対する電磁シールド設計を取り入れるとともに、ハイブリッド推進を採用し良好な燃費性能を発揮するとしています。
なお「トマホーク」「12式SSM能力向上型」「高出力レーザー」に関しては2032年以降に搭載するとのこと。これに限らず船体を大型化したメリットを生かし、将来の拡張性を保持することで、新たな装備品が登場しても追加で搭載できるようにします。
ちなみに防衛省によれば、すでに計上された分を含めて機械的に積算すれば、取得経費は1隻当たり約3950億円だそう。当初の陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)計画とその中止から、さまざまな曲折を経てイージス・システム搭載艦の建造がいよいよ動き出します。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
二次大戦でピークを迎えた物量主義だが、装備の高性能高価化に伴い先進国軍隊は自然と比較的少数精鋭になりつつある。他方でドローンに代表されるような安価で使い勝手の良い装備品も勃興している。今後一時はこのようなハイローミックスの時代を迎え、本艦に代表される個艦優越主義が一時的流行になる可能性がある。惜しむらくは、急ぎ建造を始めなければならないため現時点での価値観による設計になってしまい早期陳腐化する可能性があることである。