「フライトレコーダーつけて!」運輸安全委員会が訴え 事故目立つ小型飛行機「世界で何度も提言」
陸上のドライブレコーダーと同じ有用性
実はこうした効果は、空だけでなく陸上のドライブレコーダーにもあり、トラック・バスやタクシーのドライバー研修にも役立っています。個人の運転する車両でもドライブレコーダーの映像から、例えば停止線を超えた一時停止の癖を自覚することで、ヒヤリハットを少なくすることも可能です。これらの機能はFDMでもまったく同じです。
運輸安全委員会はFDMの導入促進を図るため「小型航空機用FDM導入ガイドライン」をオンライン上で公表しています。しかし、FDMはなかなか普及しません。そのため日本の運輸安全委員会だけでなく、各国の調査機関が義務化を訴えています。
「アメリカ、カナダなどの安全機関は強く要望しており、義務化に近づいていると期待はしています。航空のレジャーを楽しまれるのは安全が最重要でありますので、それを認識していただく上でも航空当局とも連携しながら提案していきたいと思っています」
機能によって数万円~100万円を超えるものまで、FDMはさまざまですが、こうした搭載がなくても、せめて映像機器を活用するように、運輸安全委員会は呼び掛けます。
「フライトパラメーターがなくても画像があることが重要でもあり、実際の計器が映り、それを確認するだけで、スイッチの場所、速度がどうなっているのか、パイロットのその時の反応などがわかります。また、訓練時にも非常に役立っております。そういうデータは安全のためにも重要であると思っております」
2017年3月、長野県塩尻市内の山中で発生したヘリコプター事故では、FDMは搭載されていませんでしたが、搭乗者が撮影したビデオカメラ映像が事故分析の鍵となりました。武田委員長は、まずは360度撮影のスポーツアクションカメラのような記録装置でもよいので、搭載していくことを、利用者に勧めます。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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