「戦闘機が全然足りない!」イギリス下院が政府を痛烈批判 「消耗戦には不十分」実際どれだけ減った?
イギリス下院国防委員会が報告書で政府を痛烈に批判。今後起きる可能性のある有事の規模を想定し、「全く戦闘機が足りない」としています。どれくらい少なくなっているのでしょうか。
かなり大規模な消耗戦を覚悟か?
イギリス下院国防委員会は2023年9月10日に報告書を公開し、そのなかで、自国空軍の規模が小さすぎることに関して重大な懸念を強調しました。
「航空調達:それを推進するか?」と題された報告書には、情勢の変化により有事の可能性が高まっているとともに、イギリスの防空を担う戦闘機の減少について言及されています。その数は「冷戦終結時の約3分の1」に過ぎないそうです。
報告書が想定しているのはおそらくロシア軍です。今後、ウクライナ以外の欧州で有事が発生した場合、「第二次世界大戦以降、目撃したことのない規模の消耗が予想される」としており、「空軍が高度な能力を備えていることは認めるが、消耗戦には不十分である」と判断しています。
2023年現在、イギリス空軍では冷戦後の度重なる削減を経て、戦闘機を169機しか運用していません。実はこの数は、冷戦後に大幅な軍縮をしていたドイツの214機よりも少ない数となっています。
さらに空軍・海軍が導入を進めているF-35Bの配備も遅れています。これまでに31機が就航し、2025年には74機にまでなるといわれているものの、当初の計画だった138機には全く届かない数字になっています。これは国防省の資金不足が大きく影響しています。
F-35Bは短距離離陸垂直着陸機(STOVL)であり、海軍の空母艦載機向けといわれるタイプですが、イギリスでは空軍も同様のもの使っています。そのため、発注機が空、海どちらの保有機になるかも明らかになっていないようで、「空軍のものなのか、海軍のものなのか、透明性を持たせるべき」とも批判しています。
この不足にも関わらず、イギリス政府はユーロファイター「タイフーン」の退役を予定より5年前倒し、2025年に30機を退役させる方針としています。現在の計画では、戦闘機部隊の欠乏は2030年代まで続くことになると懸念し「短期的に戦闘機と戦闘機部隊を増加させる方法を検討しなければならない」と訴えています。
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