F-15の代わりに戦ってきて!? 「戦闘機の分身」無人機まもなく実現か “空中空母”も現実味
輸送機が空中空母に?
アメリカ国防総省はロングショットが実用化された場合、戦闘機であればミサイルや爆弾を懸吊するパイロン、爆撃機であれば機内の爆弾倉にそれぞれ搭載される可能性が高いと述べています。
ロングショットが爆撃機の爆弾倉に搭載できるサイズで実用化されれば、開発が進められているB-21「レイダー」と、改修を加えて長期に渡って運用される予定のB-52H「ストラスフォートレス」の両爆撃機は、多数の空対空ミサイルを搭載して空対空戦闘にも使用できます。
アメリカ空軍はC-17ならびにC-130輸送機の貨物室から多数の「JASSM-ER」長射程空対空ミサイルを発射するシステム「ラピッド・ドラゴン」の開発を進めていますが、DARPAとGA-ASIはこれと似た方法論で、C-17やC-130の貨物室にロングショットを搭載し、空中発進したロングショットで敵の航空戦力と渡り合う、という運用方も検討しているようです。
こうなると、もはや“空中空母”といってもよい概念かもしれませんが、貨物機を戦闘用無人航空機の母機にするというアイデアは、アメリカの専売特許ではなくなっています。フランス、ドイツ、スペインの3か国が進めている将来航空戦闘システム「FCAS/SCAF」計画においても、A400M輸送機を有人戦闘機と行動を共にする戦闘用無人航空機「リモートキャリア」の母機として使用する構想が示されています。
輸送機のお尻(貨物ドア)から投下された戦闘用無人機が、敵の戦闘機をバシバシ撃墜していく光景を想像するのは、オールドファンの自分には血沸き肉躍るものではありませんが、味方の将兵の生命を極力失わないよう配慮しながら、限られた資産をフル活用して戦う現代の空軍にとって、ロングショットのような兵器システムはますます必要になっていくのかもしれません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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