次世代船の燃料は「クリーンだけど猛毒!」海上保安庁が警戒する“新たな危険” 東京湾での「劇物との戦い」間近で見てきた!
2026年2月、東京湾に巡視船や消防艇など10隻が結集。想定されたのは、次世代燃料として期待される「アンモニア」を積んだ巨大船の衝突事故です。現場を指揮する海保幹部が「想定外は許されない」と語る、過酷な訓練の裏側に迫ります。
消防艇など10隻が直面した「矛盾する」消火ミッション
第三管区海上保安本部は2026年2月13日、東京湾の中ノ瀬海域でLPG(液化石油ガス)とLAG(液化アンモニアガス)を積載した船舶の事故を想定した消火訓練を実施しました。
訓練には巡視船「いず」をはじめ、海上保安庁や横浜市と川崎市の消防局、海上災害防止センターの船艇10隻が参加。洋上でLPG火災とアンモニア漏洩が同時に起きた場合の対処法について確認しました。
想定は、東京湾内を航行していた積載容量8万立方メートル型のアンモニア燃料VLGC(大型LPG・アンモニア運搬船)の左舷前部に一般貨物船が衝突し、LPGを積んでいた1番タンクが破損。LPGに引火して大規模な火災が発生しただけでなく、アンモニアのタンクが暖められてベントポスト(ガス排出装置)から漏洩が起きているというものです。
三管本部の警備救難部環境防災課の長谷川堤司課長は「メタノールやアンモニア、水素など次世代燃料は次から次に、いろいろなものが出てきているのが現状だ。それぞれ性質が違い、対処する方法も変わってくる。特にアンモニアは毒性が強い。実際にアンモニア燃料船が出てくる中で、しっかりと対応していく必要がある」と訓練の背景を説明しました。
アンモニアは、政府や国際海事機関(IMO)などが2050年カーボンニュートラルを掲げるなか、燃焼してもCO2(二酸化炭素)を排出しない次世代のゼロエミッション燃料として注目されています。特に日本郵船は、アンモニアサプライチェーンの構築に向けた取り組みを積極的に進めており、すでにアンモニア積載に対応したVLGCを複数隻導入済み。2026年11月には4万立方メートル型のアンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)が竣工する予定です。
一方で、アンモニアは少量でも人体に影響を及ぼす劇物です。粘膜に対する刺激性が高く、短期間で気道や肺に重大な損傷を引き起こすことから、2024年に竣工したアンモニア燃料タグボート「魁」(278総トン)では、配管の二重化やパージ装置(ガスの置換装置)の設置、機関室への立ち入り制限など徹底した安全対策が取られました。
前出の長谷川課長も、「アンモニアは害や影響が広く出る懸念もあって、一番注目している」現場で述べていました。





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