消えゆく「ターャジス」 トラックやバスの右側面“カオス文”を車体にあしらっていたワケ
トラックやバスの右側面に書かれた「逆向きの文字」が数を減らしています。そもそも、通常左から右に読むのが日本語の一般的な慣習であるなかで、なぜこのようなデザインが生まれたのでしょうか。
対向車の視認性を重視して
過去によく見たものの、次第に数を減らしつつあるのが、トラックやバスの右側面に書かれた「逆向きの文字」です。通常左から右に読むのが日本語の一般的な慣習であるなかで、右側面だけは「ターャジス(スジャータ)」「スバ急東(東急バス)」といった表記の採用が見られます。なぜこのような表記となったのでしょうか。
右側面の右読み文字は、そのように読むのではなく、進行する車両とすれ違った際、対向のドライバーからは1文字ずつ、「文字が流れるように見える」ために採用されているものです。あるいは車両の前進方向へ、車体左右の側面で「文字列の頭をそろえる」といった意味もあるといわれます。
そのように対向車の視認性を向上させるべく生まれた右読み文字ですが、徐々にその数を減らしつつあります。
たとえば国際興業バスは2000年代前半に、右読み文字を左読みに改めましたが、これは、バスが停車している際に歩行者から読みにくいことと、同じ面で右読みの「スバ業興際国」と、左読みの「KOKUSAI KOGYO BUS」が混在しているのを改める目的があったそうです。アルファベットや電話番号などの数字は、右読みに配置すると、どうしてもおかしくなる影響もあったのでしょう。
トラックやバスの車体装飾を手掛けるメーカーに聞くと、顧客には右側面の文字列の右読み・左読みどちらがよいか聞くといいます。そこで「おまかせ』となった場合は、左読みのデザインを提案しているそう。もはや、あえて右読みにこだわって指定する顧客も多くはなく、右読みの文字列が残っているのは「単に昔からのデザインが踏襲されている」側面が強いのではないか、ということでした。
徐々に数を減らしつつある「右読みの文字列」のトラックやバス。その姿を見られる期間は、そう長くはないかもしれません。
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千葉中央バスの写真がないです。