世界中で欠航続出の恐れ? エアバスの大ヒット機でトラブル “エンジン不具合”過去には大影響も

エンジン問題で被害を被った過去の事例

 今回の問題で筆者が思い出したのは、2010年代中ごろにボーイング旅客機「787」むけのとあるエンジンで不具合が起きた問題です。これにより、一部の航空会社に長期間の欠航が起き、羽田空港でエンジンなしの787が並びました。

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ANAのボーイング787(乗りものニュース編集部撮影)。

 不具合は、エンジン内部で高速回転するタービンのブレード(羽根)の腐食を防ぐコーティングが不十分で、これによりブレードが破断し、離陸後に引き返す事態が生じたためでした。点検と改修のため、問題のエンジンを搭載した787を運航していたANAでは、1日に10便程度が欠航することになりましたが、新たに点検が必要なエンジンも増えてしまい、結局、2年後も欠航が続く結果となってしまいました。

 これらの787はエンジンが取り外され、羽田空港では旅客ターミナルビルから外れた南側の駐機場に並べられていました。誘導路を走る旅客機からも見ることができました。

 航空機はエンジンも含めて、一定の飛行時間ごとに整備と点検が義務付けられています。しかし、航空会社は利益を上げるため整備と点検以外は極力、飛行機を飛ばし、長い時間の駐機を避けます。そのようななかで長い間、運航停止を強いられたANAは、かなりの痛手を負ってしまったことでしょう。

 今回のPW1100G-JM、海外での報道を見ていると、改修の必要性と共にRTXの株価下落への言及を多く見ます。即断はできないものの、この状況からすると、航空会社の減便が最も大きい関心ごとになるまでには至っていないと想像できます。

 プラット・アンド・ホイットニーは現在、どれほどの製造期間でのエンジンで不具合の恐れがあるか、製造工程の何が原因だったのかを確認し続けているでしょう。A320neoは世界中の航空会社が使うベストセラー機なだけに、問題が広がらないように願うばかりです。

【了】

【写真】でかっ! これが「史上最大のターボファンエンジン」です

Writer: 島田 駿(航空・旅行ライター)

飛行機による旅行が好きで記事を書き始めた。海が好きで、羽田空港や成田空港へも時折撮影に出かける。

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