え、鉄道博物館に飛行機が? 模型は幻の「JALコンコルド」 展示のワケを聞いた
大宮にある鉄道博物館は、その名の通り鉄道に関する展示を行う博物館ですが、ある一室には飛行機の模型が展示されています。なぜなのか、学芸員に聞きました。
クルマや船に関する展示品も
埼玉県さいたま市の鉄道博物館に、何やら速そうな飛行機の模型が展示されています。場所は本館2階の「コレクションギャラリー」。しかし、なぜ鉄道に関する博物館に飛行機があるのでしょうか。
展示されているのは、イギリスとフランスの企業が共同開発した「コンコルド」。超音速旅客機(SST)として知られ、実機の巡航速度はマッハ2.02とされました。1965(昭和40)年にJAL(日本航空)が導入を計画しており、鉄道博物館にあるのは、このJAL塗装機の模型です。
しかし日本における導入計画は頓挫。JALが発注を断念したのです。騒音や燃費の悪さなどを総合的に勘案し、経済性において課題が少なくないと判断したからでした。
ちなみに発注のキャンセルは世界各国の航空会社でも相次ぎ、結局「コンコルド」が納入されたのはブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスの2社(16機)のみ。それらも2003(平成15)年までに全機が退役し、超音速旅客機は歴史の表舞台から姿を消しました。
さて、そんな「コンコルド」の幻ともいえる“JAL仕様機”が鉄道博物館にある理由について、同館の学芸員は「前身の交通博物館にあった展示品を、そのまま鉄道博物館に移設したからです」と話します。
交通博物館とは2006(平成18)年まで神田(東京都千代田区)にあった、鉄道のみならずクルマや飛行機、船、自転車に至るまで交通に関する展示を行っていた施設です。現行の鉄道博物館はその名の通り、ほぼ鉄道に関する展示で占められていますが、一部の品は交通博物館から移設されたのでした。
【了】
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