まもなくつながる「分断国道」岐阜~福井の他にも? 減っていく「地図で途切れた区間」
地図上で途切れている「分断国道」のひとつ国道417号の未開通部が、まもなくつながります。全国では他にも「分断国道」をつなげる動きがあり、その数は徐々に減っているのです。
地図で途切れたようになっていた国道417号がつながる
山で隔てられた岐阜県と福井県を結ぶ国道417号「冠山峠道路」が、2023年11月19日に開通します。日本にいくつかある「分断国道」のひとつが、まもなく解消されようとしています。
国道417号は、県境にあたる冠山峠の部分が途切れたように記載されています。実際には林道が県境をつないでいるのですが、こちらは半年間にわたり冬季通行止めで、急勾配・急カーブが延々とつづく悪路です。
冠山峠道路は、この林道に並行する国道の「本線」にあたります。このように、国道として想定されてはいるものの、実際には道として整備が進んでいない「車両通行不能区間」を有する国道は全国に存在。そして、その解消に向けた建設が進捗しているところもあります。
国道152号「青崩峠」&国道256号「小川路峠」(長野県・静岡県)
国道152号は長野県上田市と静岡県浜松市を南北に、国道256号は岐阜市と長野県飯田市を東西に、いずれも中部地方の山間部を経由して結ぶ道路です。前者は青崩峠(飯田市~静岡県浜松市)、後者は小川路峠(飯田市)の前後にある車両通行不能区間の解消も兼ね、中央道と新東名を結ぶ高規格道路「三遠南信道」の建設が進められています。
2023年5月には、このうち「青崩峠トンネル」(4998m)が貫通しました。それ以前の1994(平成6)年にも、青崩峠周辺の三遠南信道の一部として草木トンネルが開通したものの、地盤の弱さから高速道路には適さないと判断され国道256号のトンネルに変更。改めて高速道路用に掘られたのが、青崩峠トンネルです。
なお、青崩峠・小川路峠とも、秋葉神社(浜松市)へ通じる秋葉街道と呼ばれた古道の一部で、車両通行不能区間は、その古来の街道の姿をとどめています。クルマは、並行する県道や林道で迂回が可能です。
国道289号「八十里越」(新潟県・福島県)
新潟市から福島県いわき市までを東西に結ぶ国道289号のうち、新潟・福島県境の峠「八十里越」にまたがる約20km(新潟県三条市~福島県只見町)の車両通行不能区間を解消する事業が、「八十里越」です。並行する古道は司馬遼太郎さんの小説『峠』の舞台にもなっています。
1986(昭和61)年に事業化され、40年近くが経過しています。それでも工事は大詰めといえる状況で、2021年度初頭に「今後5か年程度での全線開通を目指す」と開通時期が明言されています。
国道352号「萱峠」(新潟県)
国道352号は新潟県柏崎市から栃木県上三川町までを結びます。福島県では奥只見などの豪雪地帯を通る「酷道」として知られるほか、新潟県長岡市内には通行不能区間が存在します。ここを萱峠トンネルでつなぐ事業が「萱峠バイパス」です。
1980(昭和55)年に事業化され、2018年度末時点で進捗率は84%、途中の萱峠トンネルもすでに本体は完成していますが、開通時期の発表など目立った動きはありません。日本有数の豪雪地帯で施工可能な時期が限られるほか、新潟県によると、道路そのものだけでなく雪崩対策設備なども必要になってくるといいます。
【了】
草木トンネルは国道152号のトンネルです。