なぜ電柱は倒れたか 東海道線が衝突し7人負傷 JR東日本が調査結果を公表
長い時間かけじわじわと傾斜していった模様。
乗客の避難誘導についても言及
2023年8月5日の21時すぎ、JR東海道線(小田原発 横浜行き臨時列車)が藤沢~大船間を走行中、傾斜していた電化柱と衝突。横須賀線、京浜東北・根岸線も運転を見合わせ、約15万人に影響が出ました。
窓ガラス破損や客室天井の落下など、15両編成のうち半数以上の車両に被害が及んだほか、7人が負傷、12人が体調不良を申告。運転見合わせは翌日の午前8時まで続きました。
それから2か月たった10月5日(木)、JR東日本は事故発生の原因と今後の対策を公表。それぞれ次のように説明しています。
●事故原因
列車と衝突した電化柱は、根元部分から折損していたことが判明。衝突以前より、何らかの要因で一時的に大きな荷重が電化柱に加わり、根元部分に微小なひび割れが発生、それが閉じないまま線路側へ荷重がかかり続けたところに雨水が浸入したとしています。なお通常、一時的な荷重がなくなるとひび割れは閉じるといいます。
雨水により、電化柱内の鉄筋が徐々に腐食。10本中3本の鉄筋が破断し、さらに1本の鉄筋の腐食が進展した結果、電化柱が折損・傾斜したとしています。
●対策
同様の事故が起きうる電化柱(単独コンクリート柱99本)を「重点管理柱」に指定し、その全てを今後2か月程度かけ点検。そのうえで、全てを強度の高い構造物に建て替えるとしています。
また、新たに電化柱を建てる場合、重点管理柱に該当するような柱を製造しないこととし、検査体制も見直しへ。外観目視検査の強化に加え、ひび割れを確実かつ効率的に把握するため、カメラで撮影した画像を解析し、自動でひび割れを検出する検査手法や、電化柱の外部から非破壊によりコンクリート内の鉄筋の状態を確認する検査手法の導入を検討するといいます。
そのほか、事故発生時の乗客救済についても、速やかな降車誘導などができるよう見直すとしています。
【了】
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