"赤ランプ"のまま下車…頭の痛い「グリーン車タダ乗り」問題 中央線導入でJRが直面する「ジレンマ」とは

「あ、アテンダント来なかった、ラッキー」赤ランプのままの客

 しかし、グリーンアテンダントは駅間によっては、車内に見回りに来ないこともありました。場合によっては、グリーン券を持たずに着席した乗客が、グリーンアテンダントがやってくる前に下車してしまうこともあり得ます。

 関係者は「グリーンアテンダントが車内改札を行い、不正乗車を防止している」と話しますが、同時にグリーン券を購入しないままグリーン車を利用する不正乗車は「頭の痛い問題」だといいます。

 その背景には、以前と比べてグリーンアテンダントの数が不足しているという事情があります。人手不足のため以前のように車内を回ることができないのです。

 グリーンアテンダントは車内改札だけでなく、専用のバスケットにドリンクやおつまみやお菓子をセットして車内販売も行います。揺れる車内での立ち仕事なうえ、泊まり勤務もあるのでなかなかの激務です。地方ならともかく、特に人材の争奪戦が激しい首都圏でのグリーンアテンダントの採用は容易ではないといいます。最近ではJR東海が人手不足を理由に、東海道新幹線の「車内ワゴン販売」を取りやめると発表しました。

 グリーンアテンダントの報酬を増やせば車内改札を十分に行えるだけの人材を確保できるかもしれません。しかし、単純に報酬を増やすだけではコスト増につながり経営にとってプラスとはいえません。報酬を増やしてしてグリーンアテンダントを増員することで、不正乗車による会社の損失分をどれだけ回収できるか。支出と収入の見極めが必要なのです。

 中央線快速にもグリーン車が導入される予定で、開始時期は早くとも2024年度末以降。もしこれまでと同じ仕組みを採用すると、会社全体でさらに多くのグリーンアテンダントが必要になるだけに、確かに不正乗車対策は頭の痛い問題といえそうです。

【了】

※一部修正しました(10月17日14時50分)。

【画像】あれれ…?「空席ランプ」なのに客が座っている様子

Writer: 土方 揚(経済ジャーナリスト)

1963年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。 出版社に入社し経済誌や投資情報誌で編集・記者を長年務める。 幅広い産業の取材や海外駐在経験を元に できるだけ広い視野に立って記事を書くことを心がけている。

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コメント

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1件のコメント

  1. 磁気グリーン券を廃止してSuicaグリーン券だけにして端末に当てないで座ると警報なるようにすればいいと思う。