「え、戦車じゃないの!?」魔改造&擬装がすぎるイスラエル異形の兵器 長らく極秘だったワケ

なぜ秘密にされたのか

 もともとイスラエルは、持っている兵器を最大限に有効活用するため、自国仕様へ魔改造することで知られていました。マガフもアメリカ製M48戦車やM60戦車をベースに独自改造したもので、主砲を90mm砲から105mmに換装、エンジンを火災の危険性が低いディーゼルエンジンに変更し、最終形態では爆発反応装甲「ブレイザー」を装着して、射撃管制装置の更新などオリジナルのM48やM60とはほとんど別物になるほど改造しています。

 名前だけ公表されていた謎戦車ペレフの正体は、実はマガフ5型(M48A5)をベースにした自走式ミサイルランチャーです。1980年代中ごろから開発が始まり、1990年代初めには実戦へ投入されていたようですが、画像が流出した2006年になるまで、存在自体が知られていない秘密兵器でした。

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ミサイルランチャーを格納して移動するペレフ。一見では自走ミサイルランチャーには見えないが、砲塔後部の大きさは目立ち、擬装した主砲もダミーの鉄パイプとは思えない迫力だ(ヤムヤ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)。

 では、自走式ミサイルランチャーがなぜ秘匿されていたのでしょうか。それは搭載していたミサイルが特徴的だったからです。大きなペレフの砲塔には、スパイク-NLOS対戦車ミサイルランチャーが12基収められています。移動時には収納されており、発射時に上方に展開される方式です。砲塔後部から再装填も可能です。

 スパイク-NLOSは、国内メーカーのラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズが開発したミサイルで、目標をロックオンすると軍用機で誘導し続ける必要のない「撃ちっぱなし」能力を持ち、最大射程25kmという対戦車ミサイルとしては破格の長射程です。このミサイルもペレフ同様に、2011年まで秘密兵器でした。

 スパイク-NLOSは、目標を特定していなくてもおおよその地域に発射後、GPSによる中間誘導を受けながら弾頭のテレビカメラで目標を捜索、特定して攻撃できます。徘徊型弾薬(自爆ドローン)ほど自由に飛行できる柔軟性はありませんが、発射後に目標をロックオンできるのは大きな特徴です。また、戦車の弱点を突くトップアタックも可能。発射は圧縮ガスによってランチャーから射出されるコールドローンチ方式で、これには発射時、熱源探知されることを避ける意図があります。

【え、そこから、しかもミサイル!?】発射する「ペレフ」(写真)

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