鉄道輸送で「ヨーロッパ一帯一路」実現へ!? 安全保障は物流から! 輸送網のハブになる国・ハブられる国

ヨーロッパでは世界の不安定な情勢を受け、鉄道による輸送網の確立に向けた動きがあります。この「鉄道回廊」計画ですが、一枚岩ではなくさまざまな「関係性」も見え隠れします。

ヨーロッパの安全保障「鉄道回廊」とは

 TEN-Tは9つのルート(回廊)があります。フランス、イタリア、オーストリア、ハンガリー国内には4ルートが通り、デンマークなど12か国は1つしか通っていません。そのなかでドイツは突出していて、6つの回廊が通っています。しかも最新の発表資料によると、7つ目のルートもドイツにつながる可能性があります。

 その7つ目のルート「北海―地中海回廊」は、アイルランドから海路でオランダのアムステルダムやフランスのル・アーヴルに上陸し、そこから地中海へと抜けるものです。欧州委員会は2022年11月、68ページの計画書を発表し、同回廊について「ドイツに繋ぐことを検討する」と、ひっそり書き加えたのです。

 東欧と西欧、北欧と南欧の間、すなわち「中欧(セントラル・ヨーロッパ)」に位置するうえ、9つの国と接し、経済的にも政治的にも欧州の中心のドイツ。欧州最大の経済大国で自動車や工作機械などのモノ作りも集積しています。ほかの欧州諸国との貨物のやり取りが多いのも当然です。ドイツが欧州の鉄道輸送の「ハブ」になることは必然とも言えます。

 しかも2021年末に発足したショルツ政権では、環境政党の「緑の党」が連立与党に入り、自動車や航空より環境に優しい鉄道への期待が高まっています。

※ ※ ※

 一方、欧州の「鉄道回廊」の整備から外れつつあるのは英国です。

 前述のTEN-Tの「北海―地中海回廊」は、もともとアイルランドだけでなく「英国の北部スコットランドからロンドンを経由してドーヴァー海峡を渡り、地中海に向かう」というルートでしたが、2022年1月のブレグジット(英国のEU離脱)で大きく計画が変わりました。

 英国が「信用し合えるパートナー」から外れ、ハブと接続するどころか「ハブられる」選択をしたことにより、英国を通る必要がなくなり、代わりにドイツを経由する7つ目の回廊にする方向に切り替わったようです。

【画像】えっ…!これが欧州の「一帯一路」鉄道計画です

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