ロシア軍機が次々に撃墜「侵攻の初期以来」の損害に 温存していたのになぜ? ウクライナの“切り札”実は複数
2023年10月に入ってからロシア軍攻撃機の撃墜報告が相次いでいます。地上戦激化により、前線に投入されるケースが増えたため、損害も増えているようです。
近接での航空支援が影響か?
ウクライナでの戦闘において2023年10月に入ってから、ロシア軍攻撃機の撃墜報告が続いています。
現地報道によると、10月以降の10日間だけでも、ロシア軍の攻撃機であるSu-25が少なくとも5機撃墜されています。今回のようにロシア攻撃機の撃墜が相次いだのは、ウクライナ侵攻初期以来のことです。
10月に入ってからロシア軍の損害が増加した理由としては、近接での航空支援を再開していることが関係しています。侵攻初期こそ、ロシア空軍はウクライナの防空網に入って攻撃をしていましたが、その後の地上部隊の支援に関しては、機体の損失を恐れ、防空網の外から射程延長用の滑空装置を備えた無誘導爆弾を使って攻撃を行っていました。
しかし、ウクライナ東部の要衝アウディイウカで大規模な地上戦が行われている影響などで、地上部隊をより強力に支援するために、短距離で無誘導ロケットを用いて近接での地上攻撃が可能なSu-25が前線に投入されるケースが増えていると考えられます。
Su-25は、小火器での被弾のみならず、一部対空ミサイルの攻撃にも耐えられるように設計された装甲を持った攻撃機です。しかし、同機の撃墜実績を多くもつアメリカ製の携帯式の対空ミサイル「スティンガー」を用いることがウクライナで定番化。侵攻初期から損傷を与えていましたが、それが再燃しています。
ただ「スティンガー」は2023年7月以降、在庫が減少しており、ウクライナ政府が追加での供給を求めています。その数はまだ十分には揃っていないと見られているようです。
しかし、「スティンガー」の減少でウクライナ軍の防空能力が落ちたというわけでもありません。より高性能の対空ミサイルであるイギリス製AIM-132「アスラーム」の供給も始まっています。この対空ミサイルは携行できませんが、ウクライナ軍は移動式の地上発射台に搭載し、既に使用しているようです。
また、今後はアメリカから対空ミサイルのAIM-9「サイドワインダー」と、それを使用した地上発射システムも供給されるとみられており、ロシア空軍がウクライナ軍を地上攻撃するリスクはさらに高まるとみられています。
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