自衛隊「大砲ドーン!」はごく一部? 見えない目標に砲弾の雨を―知られざる“裏方”たちの奔走

大砲を撃つ自衛隊員は、実は自衛隊のなかでも“花形”のひとつ。それを運用する部隊は、大砲を効果的に着弾させるために奔走する多数の裏方が存在します。撃てばいいというわけでは決してない、知られざる役割を取材しました。

最初に展開して最後に撤収、どんな部隊?

 射撃指揮班は、野戦特科部隊の頭脳といえる組織です。ここでは、他部隊からの射撃要求を受けた後に、戦砲隊に対して射撃に必要なデータを知らせます。その内容は大きく分けると射角、方位角、そして装填する装薬の数などです。これらは全て数値化されていて、射表と呼ばれる計算式に当てはめることで、射撃に必要な数値を導き出せるようになっています。

 こうして出された数値を基に、各砲班は定められた数値通りに砲を操作し、示されたタイミングで砲弾を発射していきます。

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前進観測班の弾着観測の様子。演習場なのでこのようなコンクリート製の構造物の中に入っているが、実戦ではさまざまな場所に布陣する(武若雅哉撮影)。

 最後に紹介するのが通信班です。

 通信班は、それぞれ離れた場所で活動している各班を繋ぐ役割を持っています。無線も併用するとのことですが、傍受や電波妨害を警戒して、有線で通信網を構成することがメインとなっています。そのため、真っ先に現場へ進出し、有線を設置。射撃後もそれら有線を回収してから帰るため、最後に現場を離れる、まさに縁の下の力持ちとして知られています。

 各班を繋ぐ通信は作戦の成功に大きく関係するため、通信班は「通信必達」というモットーを掲げていました。

 こうして、さまざまな支援部隊が動いて初めて、155mmりゅう弾砲FH70は所定の性能を発揮できるといえるでしょう。今回は東北方面特科連隊の動きを基に解説しましたが、ほかの野戦特科部隊もおおむね同じです。

 駐屯地記念行事や富士総合火力演習(総火演)などで見る野戦特科部隊の動きは、この中の砲班だけを主に描いています。会場に流れる無線の音声では射撃指揮班の声も入りますが、これら以外にも多くの隊員がそれぞれの役割を果たすことで、初めて野戦特科部隊は1発の砲弾を発射することができるのです。

【了】

【え、風船上げるの?】これが155mmりゅう弾砲FH70を射撃するための動きです(写真)

Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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