「誕生日をクルマのナンバーにする人」の心理とは?
「・329」「1124」など、誕生日を思わせる数字のナンバープレートをよく見かけます。こうしたナンバーを選ぶドライバーの心理について、専門家に詳しく聞きました。
そのナンバー「誕生日」ですか? 気のせいか…?
自動車ナンバープレートの大きな4桁数字(一連指定番号)を任意に選べる希望ナンバー制度を活用し、「誕生日」や「大切な日」とおぼしき数字をナンバーにしたクルマを見かけることがあります。たとえば「・215」=2月15日、「・329」=3月29日、「1124」=11月24日などです。

こうした番号は「誕生日をナンバーにしている」と仮定した場合、そのドライバーにはどんな心理が隠されているのでしょうか。交通心理士で近畿大学物理工学部准教授の島崎 敢先生に聞いてみたところ、「あらかじめ伝えておくべきは、このような観察には思い込みや誤解が多く含まれる」と、クギを刺されました。
「たとえば『・101』から『1231』までの数字は日付に簡単に変換できるため、つい『これは誕生日かも』と思ってしまいがちです。しかし、実際にそうかどうかは確かめようがありませんし、単なる偶然の可能性も十分あります。このように『意味がありそうな数字だけが記憶に残る』という現象は、心理学で『代表性ヒューリスティック』や『選択的注意』によって説明されます」(島崎先生)
たしかに、先入観や主観的な印象によって、「あの番号は誕生日か何かでは?」と感じてしまう傾向がある一方で、誕生日をナンバーに設定するドライバーが全くいないとも言い切れません。
そこで、仮に「誕生日をナンバーに設定する」ドライバーがいたとして、そこにはどんな心理が隠されているかについても聞きました。
「仮に『ナンバープレートに自分の誕生日を指定する』ドライバーがいたとして、一つの推測では、クルマ自体を『単なる移動手段』としてではなく、『自分と結びついた存在』として扱っていることの表れとして捉えることはできると思います。
心理学では、所有物への愛着を『拡張された自己(extended self)』と呼びます。これは、自分の一部のように感じる対象に対して特別な意味を持たせる行動です」(島崎先生)
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