「殺すぞゴルァ!」騒然の新幹線、急遽「通過駅に緊急停車」! パワーアップした異常時訓練さらに「実践的」に
スマホ通話システムで迅速な状況共有
非常事態は、新幹線が発車ししばらくした後に発生する想定で行われました。きっかけは客同士のトラブルです。
「あの、スマホから音が漏れてますよ。聞いてますか? 周りのみんなが迷惑してるんです。音を出すのをやめてください」
「あぁ?なんだとこら、おい。うっせえんだよ」
「うるさいじゃなくて。なんですかいきなり。やめてくださいよ。あなたが悪いんですよ」
「ああこら?おい殺すぞこら!」
「うわああああ!ナイフだ!」
騒然とする車内。客は我先に別の号車へ逃げていき、誰かが非常停止ボタンを押したようで、ピーピーと音が鳴り響きます。
「ただいま12号車で脅威発生、脅威発生、負傷者が出ている模様です」
「こちら車掌、現在8号車です。各クルー、現在位置を教えてください。避難の誘導をお願いします」
「マネージャー、8号車にいます。現場に急行します」
これらの連絡は、スマホを通じたグループ通話システムで、リアルタイムで各乗務員に共有されます。現場の状況も、現場にいるスタッフのマイクを通じて分かるようになっています。
「おい。開けろ!開けろっつってんだよコラ!」
「刃物を下ろしてください。落ち着いて」
「開けろっつってんだコラ!!」
不審者の位置は適宜通知され、反対側の貫通路から警備員がさすまたや盾を手に乗り込みます。不審者を足止めしているあいだに、車内に取り残された負傷者が運び出されます。あとは不審者だけになりました。
「おい開けろっつってんだよ!」
やがて電車は緊急停車駅に到着。不審者を車内に閉じ込めているあいだ、乗客が次々と降車していきます。降車が完了すると、代わりに乗り込んできたのは鉄道警察隊。やがて不審者は制圧され、確保となりました。
新幹線鉄道事業本部副本部長・運輸営業部長の近藤 雅文さんは「これまで異常事態への訓練を繰り返し行ってきましたが、今回の初めての試みとして、進路変更による緊急停車の実践訓練を取り入れました。上手くいったと手ごたえを感じています。これからも引き続き実践的な訓練に取り組んでいき、乗務員や関係者の対応力を向上させてまいります」と話しました。
【了】
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