「ミサイルになりきる」が役目!? リストラ決定の超激レア自衛隊機とは 異例のド派手ボディ機どうなっちゃうの?
リストラされちゃったよ…
そんなU-36Aですが、2022年12月末に策定された「中期防衛力整備計画」において全機の用途廃止が明記されました。同計画ではサイバー・宇宙分野などの要員を大幅に増強する必要があるとする一方、自衛官の総定員(24.7万人)は増やさない方針であることから、「既存部隊の見直しや民間委託などの部外力」を活用することで防衛力の抜本的強化を実現するとしており、その整理対象の装備品のひとつにU-36Aも含まれてしまいました。
すでに01号機は今年7月に除籍され、木更津基地に飛来した04号機も年内に引退する予定です。「U-36A」が担ってきた訓練支援に関しては今後、民間会社へ委託するとしていますが、詳細は決まっていないようです。
ちなみに、神奈川県の厚木基地にはアメリカの民間軍事会社で米軍向けの訓練を請け負うATAC(Airborne Tactical Advantage Company)の拠点があり、同社のホーカー・ハンターが仮想敵として自衛隊の訓練に登場する可能性もあります。
今回、筆者(深水千翔:海事ライター)はU-36Aの機内も見学することができました。35年にわたって活躍した同機のコックピットにはアナログの計器が並んでいました。搭載機材の補修部品はなく、他の機体から取ってきた部品もあるそうです。
ミサイルを模すという唯一無二の任務を担っていたレア機も、自衛隊が変貌する中で、間もなく役割を終えようとしています。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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