「機械の速度で戦わなければ、機械の速度で叩き潰される」米海軍&海兵隊が急速に“無人化” 進めるワケ 危機感ジワリ
無人化は、なぜ必要なのか?
アメリカ海兵隊は、中国との軍事的衝突を念頭に、太平洋の島々を広く横断&分散して戦う構想を練っています。中国が相手となると、従来のようなアメリカ空軍の圧倒的な制空権下の戦いではなく、両者の力が拮抗した戦いが予想されることから、まさに麻薬密輸のごとく「敵の監視を逃れて」最前線に人員や物資を輸送する必要があるのです。無人化は、効率的に物資を輸送し、また人員の損耗を減らす手段として注目されています。
スピアヘッド級が戦域レベルの輸送を担当するのに対して、戦場レベルでの無人輸送の取り組みも開始されています。それが「TRV-150C戦術再補給無人機システム(TRUAS)」です。
やや大型のクアッドコプターであるTRUASは、約27kgの物資を搭載して半径約14kmの活動範囲を有すると言います。無線操縦ではなく完全自律式であり、複数のウェイポイント(通過座標)を指定することでフライトプランを組み立てることができるそうです。
アメリカ海兵隊と同海軍は現在21機を購入しており、敵と力が拮抗する戦場において最前線の部隊へ、迅速で継続的な物資輸送手段として用いることが期待されています。
海兵隊の無人化は攻撃兵器にも及んでいます。それが無人の対艦ミサイル発射車両である「NMESIS(海軍/海兵隊遠征型船舶阻止システム)」と、「LRFL(長射程射撃ランチャー)」です。どちらも汎用車両JLTVのシャーシを流用した無人車両「ROGUE Fire」をベースとしており、NMESISは2発のNSM(海上打撃ミサイル)を、LRFLは1本のトマホーク Block.Vを搭載します。驚くべきはLRFLのほうで、艦艇に搭載されるMk.41垂直発射機のセルを1本そのまま車体に載せており、ランチャーが車体からはみ出るほど巨大です。
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