全職員1.8万人動員 東京消防庁8年ぶり「24時間訓練」に密着 ホース1kmつないで“水の壁”を作れ!
東京消防庁が8年ぶりとなる全職員を動員した一大総合訓練を行いました。首都直下地震が起きて海や川の水を使って長時間にわたり消火活動することを想定した今回の訓練、さまざまな教訓がありました。
夜間に夢の島で行われた一大訓練
東京消防庁は2023年11月25日から26日にかけて、管下全域で全消防職員1万8000人と消防団員を動員した総合震災消防訓練を実施しました。
24時間に及ぶ大規模な訓練はおよそ8年ぶり。1923年9月に発生し首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災から100年の節目を迎える中、近い将来起こるといわれる首都直下地震への対応能力を強化することを目的に、昼夜を問わず継続した長時間の消防活動などを演練していました。
新宿消防署警防課の加藤央一災害対策調整担当課長は、「実際に長時間の訓練をしていると、やはり想定された通り機材の故障も発生する。事前に予測して準備していた予備の装備・資機材をきちんと用いることで、実活動の際も問題なく動けるようにしていくことが教訓だと思っている」と話しています。
今回、報道関係者に公開されたのは、東京都江東区の夢の島訓練場と東京夢の島マリーナの一部を使用した夜間の火災現場活動訓練です。「朝に多摩東部と都心南部を震源とする地震が発生し、都内では最大震度7を記録。東京消防庁管内各所で大規模災害が多数起きた」と仮定し、大規模に延焼拡大した火災を想定しています。なお、地震で消火栓が使えない状態という内容も盛り込まれていたため、海水(無限水利)を使用しての長距離延長放水、長時間放水が行われました。
同会場の参加人員は380人(消防職員350人、消防団員30人)、参加車両はポンプ車など47台と可搬ポンプ3台となっています。
訓練では東京湾から海水を吸水するため、夢の島マリーナの岸壁にポンプ車6台を設置。 ポンプ車1台当たり吸管2本を海に入れており、それぞれ毎分2000リットルの海水を吸い上げています。送水圧力を維持するため、中継にポンプ車と可搬ポンプを活用し、約1km先にある夢の島訓練場まで等間隔で敷かれた10本の65mmホースによる長距離送水を実施していました。
このような長距離大量送水を使って、夢の島訓練場では広範囲に及ぶ延焼規模の火災に対し、複数の放水線による放水の壁(延焼阻止線)を配置し、輻射熱や延焼拡大の防止を図っていました。
また、PHEV(プラグインハイブリッド車)を使用した外部照明への電源供給や、ドローンによる上空からの情報収集を行っていたのも、今回の訓練の特徴といえるでしょう。
さらに通常の消防部隊では進入困難な地域に、いち早く進出する部隊として2020年に発足した即応対処部隊も展開していました。同部隊は実際の災害時には浸水地で活動を行うエアボートや、不整地でも活動可能な全地形活動車やドローンなどを活用し、災害実態の確認や消防救助機動部隊等と連携した救助活動を展開するとのことです。
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