かつての「B-29の発進基地」が復活へ!? 因縁の米テニアン飛行場 その理由とは

長年放置していたのになぜ?

戦略の変化を受け滑走路を復活へ

 サイパンのテニアン島にあるノースフィールド飛行場及びウエストフィールド飛行場(現:テニアン国際空港)で、広大な舗装滑走路を含む、大規模施設にするための工事が開始されることが2023年12月17日、「NIKKEI Asia」の取材により明らかとなりました。

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B-29の発着基地だった頃のテニアン島(画像:アメリカ空軍)。

 同地は戦前に日本がハゴイ飛行場として整備し、1944年7月に日本がサイパンを喪失した後は、アメリカ軍がB-29発着基地として使用しました。広島に原爆を投下した「エノラ・ゲイ」、長崎に投下した「ボックスカー」の発進基地としても有名です。

 戦時中、B-29の基地が建設された当初は計6本の滑走路を有していましたが、1947年以降、軍事的な価値は低いと放置されており、現在はノースフィールド飛行場に海兵隊が使用する老朽化した滑走路が2本と、テニアン国際空港の敷地にある1本の滑走路が残っているのみです。

 しかし、空軍の2024年度予算要求の一部として、テニアン島向けのいくつかのプロジェクトの概要が示されていたことで、同地が再びアメリカ軍の大規模な飛行場としての機能を取り戻す可能性が、2023年3月頃からアメリカメディアで報じられていました。

 同飛行場を復活し拡張させる目的としては。アメリカの戦略の変化があります。現在、太平洋で一番の脅威となりうるのが中国軍ですが、仮に有事になってしまった場合、同軍はアメリカの主要拠点を攻撃できる性能のある弾道ミサイルを保有しています。そのため、基地や拠点を増やすことで、戦力を各地に分散させ、ミサイル攻撃に対しての脆弱性を軽減しようとしています。

 NIKKEI Asiaが太平洋空軍司令官ケネス・ウィルスバッハ大将に聞いた話によると、滑走路自体は、生い茂ったジャングルの下に残っているそうで、2024年の夏までにジャングルを伐採。その後、大規模な改修工事を開始する予定のようです。なお、具体的な基地の運用開始時期については、明言はありませんでした。

【了】

【ほぼジャングル!】伐採前の緑に飲み込まれたテニアン飛行場の跡地(写真)

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