つかまるよ「酒飲んで自転車」 新たな交通ルールで厳格化“クルマと同じ”に 一網打尽で摘発の可能性も
警察庁が検討する新たな自転車の交通ルールにおいて、飲酒運転の対応が強化される見込みです。酒気帯び運転にも罰則を設ける方針で、これにより摘発が続出する可能性も出てきました。
自転車「酒気帯び運転」にも罰則
警察庁が開催する有識者検討会で「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(以下、中間報告書)が作成され、2023年12月21日に国家公安委員会へ提出されました。反則金制度が導入されるなど、自転車の新たな交通ルールの概要が明らかになりました。
これにより、自転車の「飲酒運転」について対策が強化される見込みです。中間報告書を受け、警察庁は来年度の通常国会での成立に向けて道路交通法の改正などに着手します。
道路交通法に規制された飲酒運転には、血中・呼気に基準値以上のアルコールを含む「酒気帯び運転」と、アルコールの影響で正常な運転ができない恐れがある「酒酔い運転」があります。
中間報告書では、「自転車の酒気帯び運転」についても罰則を新設し、事故を抑制することが必要と指摘されています。現行の法律でも飲酒運転は禁止されていますが、自転車の酒気帯び運転には、罰則がありませんでした。一方、自転車の酒酔い運転は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
自転車の酒気帯び運転についても、自動車と同じ罰則を設けて赤切符の対象とする方針です。こちらは3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。酒酔い・酒気帯びどちらもクルマと同じ罰則になります。
有識者検討会は、酒気帯び運転でも、交通事故における死亡・重傷事故率は飲酒なしの場合と比較して高い傾向にあること、死亡事故の実数でも、罰則がない状態では減少幅が小さいことを重視しました。
中間報告書の段階では、自転車の酒気帯び運転の基準は決まっていませんが、自動車に合わせたものになると思われます。これにより飲酒検問でも、無免許で運転ができる特定小型原付と同様に、自転車も検問が実施される可能性があります。
今回の中間報告書の内容は、自転車運転に対して反則金制度、いわゆる「青切符」を導入することが大きな柱の1つですが、酒酔い、酒気帯びなどについては、厳格な対応を維持します。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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