JAPAN RAIL PASS値上げも追い風に? 高速バス外国人需要で復調 運転手の待遇改善につながる“稼ぎ頭”
コロナ禍の苦しみを経て、高速バスがようやく復調しています。コロナ前を上回る路線もあり、今後さらに需要拡大が見込まれています。運転手不足も深刻化していますが、その待遇改善につながる稼ぎ頭こそ、高速バスです。
都心でも人気のバスが
高速バスではありませんが、都市内を周遊する観光路線も人気です。
日の丸自動車興業は東京都内で3つのタイプの観光路線を運行しています。オープントップバス(屋根のない2階建てバス)を使い1時間程度で都内の名所やイルミネーションなどを回る手軽な「スカイバス東京」と、観光スポットに設けた停留所をバスが定期巡回し、利用者は自由に乗降して観光を楽しむホップオン・ホップオフタイプの「スカイホップバス」、水陸両用タイプの車両でバスごと川や海へ入っていく「スカイダック」です。
これらのうちスカイホップバスで特にFITの利用が目立ち、利用者数は既にコロナ前水準を約20%も上回っています。高い位置にあるバスの座席から、渋谷のスクランブル交差点を行き交う人々を眺め、その交差点にバスで進入するシーンがFITに特に人気なのだそうです。
九州横断バスもスカイホップバスも、観光地どうしを結び、複数地点を「自分のペースで、かつ手軽に」周遊できるようにした点が共通しています。
バスのチャンス到来? 「鉄道パス値上げ」
今後の伸びが期待できる路線もあります。例えば松本~平湯~高山線は、現在、車内は外国人ばかりと言っていいほどFITに人気です。特にコロナ後、奥飛騨温泉郷の人気が高まっているのです。
同路線を利用するFITは、これまで、新宿からJRの特急電車で松本に着き、バスで奥飛騨や高山へ移動した後、やはりJRで富山へ抜けて北陸新幹線で東京へ戻るか、または京都、大阪へ向かっている人が多かったと思われます。
しかし、全国のJR線が乗り放題となる訪日外国人向け「ジャパン・レール・パス」が大幅に値上げされました。23年10月購入分から新価格ですが、12月末までは旧価格で購入した券も使用することができたので、実質的には24年1月から値上げとなります。
レール・パスの値上げによって、鉄道を利用していた需要の一部が、新宿から松本や平湯、高山まで高速バスに転換することが想定されます。松本と平湯の中間には、これまた外国人に人気の上高地があり、24年の春シーズンからは新宿~上高地線の需要増も考えられます。
このほか、東京から箱根方面も、レール・パスを使い小田原まで新幹線で向かう人が多かったのですが、一部が新宿発の高速バスに転換することが考えられます。
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