ホバークラフトどんどん送ればいいじゃん←そうじゃない! 能登への物資輸送の難しさ 陸海空全てで

海がダメなら空から? 物資の空中投下が「推奨されない」ワケ

 LCACは「使える」乗りものですが、物資を出発地から目的地に運ぶ物流ネットワークの一部に過ぎず、物流を成立させるには前後の経路が構成される必要があります。孤立地域に輸送機やヘリコプターで物資を空中投下しろ、などという意見も聞かれますが、冬季の日本海側では地形と天気予報を見るだけで荒唐無稽だと分かります。さすがのLCACも海が荒れてくれば航行できません。

 輸送機やヘリコプターにしても、LCACにしても、輸送手段単体の能力だけに着目し、その特性や前後の経路構成を考えなければ無意味です。LCACや大型輸送ヘリコプターなどの装備を持っている自衛隊が、なぜ物資を徒歩で搬入しているのかといえば、それがその現場でのその時点における最善策だと判断されたからです。

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静岡県の沼津海浜訓練場に上陸する様子。軽装甲機動車の進路にマットを敷いてゆく。上陸作戦には大変な労力がかかる(月刊PANZER編集部撮影)。

 現在、能登半島の陸上経路は非常に狭隘になっており、政府や石川県が一般車の乗り入れを自粛要請するような事態です。「隘」「険」の地形に人員を送り込むのは『孫子』の時代から変わらず困難です。こういった場合には、人員の逐次投入が良い場合もあります。LCACで運ばれた重機がようやく通路を啓開しても、一般車が集まって渋滞するようではそれこそ無意味なのです。

【了】

上陸するホバークラフト 車両は砂浜でスタックも…訓練の様子

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