ディズニー映画に登場の爆弾つくってみた 実際は…? 「ディズニーボム」叩きのめす相手はUボート

いざ実戦投入 戦果のほどは

「ディズニーボム」後部にはロケットモーターが19本束ねて収められました。最適投下高度(6100m)で投下するとロケットモーターが3秒間燃焼し、着弾時速度は1584km/h(マッハ1.28)に。ちなみにグランドスラムの最適投下高度は6700mで着弾時速度は1152km/h(マッハ0.93)、トールボーイの最適投下高度は5500mで着弾時速度1210km/h(マッハ0.97)でした。

 実戦配備されたのは1945(昭和20)年に入ってから。しかし当時のドイツは敗色も濃くなり、目標となるUボートのブンカーもほとんどなくなっていました。実戦初参加は同年2月10日で、この時は「ディズニーボム」を2発ずつ搭載したB-17の9機が、オランダのエイマイデンにあるドイツ海軍高速魚雷艇(Sボート)のブンカーを攻撃しました。以降4回出撃して計158発を投下しましたが、芳しい戦果は認められませんでした。なおアメリカ軍の爆撃隊に損害は出ていません。

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1945年2月10日、オランダのエイマイデンにあるドイツ海軍ブンカーに投下された「ディズニーボム」(画像:米軍関係者,パブリックドメイン,via Wikimedia Commons)。

 戦後も実験と検証が続けられ、「ディズニーボム」はトールボーイやグランドスラムのような超大型爆弾と同等の効果ありと認められたものの、ロケットブースターの不発や、外殻の強度不足により着地の衝撃で粉砕される弾体もあり、コンクリート貫通用として完成域には達していないと評価されています。

 現代でも地下施設攻撃用の地中貫通爆弾(いわゆるバンカーバスター)が開発されていますが、先祖がディズニー映画の架空爆弾だと思うと、ディズニーの着想(夢)とそれを具現化したイギリス海軍恐るべしといったところでしょうか。

【了】

【おぉ…】爆弾の元となったディズニー映画の一幕です

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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