ディズニー映画に登場の爆弾つくってみた 実際は…? 「ディズニーボム」叩きのめす相手はUボート
なかなか首を縦に振らない空軍省
開発を担当したのは、イギリス海軍予備員の大尉で、海軍兵器開発総局に勤めていたエドワード・テレルという人物です。戦前には野菜の皮むき器などの特許も持っていた発明家で、夢の兵器の具現化は発明家心を刺激したようです。
一方のイギリス空軍はブンカーを破壊するために超大型爆弾を作りました。5tのトールボーイ(弾頭重量2358kg)と10tのグランドスラム(弾頭重量4144kg)です。
基本原理は着弾してもすぐ爆発せず、コンクリートにめり込んでから炸薬の爆発の衝撃波で構造物を破壊しようというもので、「地震爆弾」ともいわれています。高速で着弾させるためには高高度から投下せねばならず、その分命中精度が悪化するというジレンマがありました。
その点「ディズニーボム」は、細身ながら固い鋼板製外殻の弾体にロケットブースターを取り付け、加速を付けて重力による自由落下よりも高速とすることで、徹甲弾のようにコンクリート製の屋根を貫通させようという原理でした。重さは2t(弾頭重量230kg)で長さは5.03m、本体直径は380mmと、地震爆弾よりもはるかに小型軽量にできるという利点がありました。
しかし先述の通り、このアイデアはチャーチル首相が議長を務める対Uボート委員会では空軍省が懐疑的で、承認を得られませんでした。計算上は、ロケットブースターで加速するディズニーボムは超大型爆弾に匹敵する貫通能力を発揮できる可能性があるとアメリカ軍がはじき出し、イギリス海軍はアメリカ陸軍航空隊の援助を受け、B-17爆撃機にモックアップを搭載して見せるなどしようやく委員会から開発承認を得ます。しかし空軍省の消極姿勢は変わりませんでした。
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