理想形は「限りなく鉄道に近いバス」!? 名古屋の新交通システム「SRT」が示す「興味深い問題意識」とは
名古屋市で検討中「SRT」って一体何だ?
SRTとは「Smart Roadway Transit」の略で、「技術の先進性による快適な乗り心地やスムーズな乗降、洗練されたデザインなどのスマートさ」を備えた路面交通を意味します。Rは「Roadway」であって「Rapid」ではないので、BRTとはまた異質の交通機関です。
2023年9月に斬新な内外装の連節バスを含む「デザイン方針」が公表され、話題になりましたが、これだけでは「洗練されたデザインの快適車両を用いた路線バス」に過ぎないのではないかとも思えます。しかし、名古屋市の検討内容を見てくとLRT、BRTともつながる「興味深い問題意識」が浮き彫りになってきます。
SRT構想は2011(平成23)年に策定された「なごや新交通戦略推進プラン」を出発点として、2014(平成26)年策定の「なごや交通まちづくりプラン」で本格的な検討が始まりました。現在も社会実験と並行して「トータルデザイン懇談会」で議論が進んでいますが、2017(平成29)年に取りまとめられた「新たな路面公共交通システムの導入に係る基本的な考え方」をもとにSRT構想を詳しく見ていきましょう。
名古屋市は全域に地下鉄や路線バスが整備されていますが、「名駅(名古屋駅)」周辺に人が集中しがちで、駅を取り囲む「名城」「栄」「大須」エリアの回遊性が不足しています。
そこで市は、「国内外から初めて来た人や、普段は都心にあまり来ない人が迷うことなく利用できる『わかりやすさ』」「車椅子使用者や荷物を持った人、子育て世代など誰もが気兼ねなく利用できる『使いやすさ』」「まちの風景や賑わいを感じながらゆっくりと移動できる『楽しさ』」を兼ね備えた新たな路面交通が必要と考えました。
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