新型「やくも」本当に酔わないのか? 乗り物酔いする鉄道カメラマンが捨て身の実証!
旧型「381系やくも」と乗り比べてみた!
米子駅から生山駅へは、15時35分発となる特急「やくも22号」に乗車することにしました。現行の381系「やくも」は、273系導入に伴い今年6月までの引退が決まったことで、“最後の国鉄型特急”として全国の鉄道ファンの注目を集めています。
3月16日のダイヤ改正からは全車指定席となっているため、4号車に席をとり1番ホームで対峙します。やってきたのは2007年にリニューアルされた「ゆったりやくも」7両。通常の4両編成に3両プラスの増結編成です。
これはマズイ……敵ながら、よりにもよって一番鉄道ファンの心をくすぐる編成です。273系と違い、「プシュー!」という威圧感をだすドア開放で筆者を飲み込みます。座席はその名の通り、かなりゆったりとしており、座り心地は申し分ないものの、強力なモーターを内包する車体が、長年の運用のためか小刻みに身体を揺さぶります。結果、乗車5分で酔ってしまいました。
鉄道ファンの用語に「ぐったりやくも」というのがあります。この言葉の由来はこういう状況に陥ることを表しており、先に述べた川西氏とのワークショップでも、今の「やくも」のイメージは「臭い」「暗い」「酔う」との散々な意見が多かったといいます。
しかし、モーター音を唸らせながら険しい中国山地の激しいカーブを突き進む、381系の走りや直向きな姿は、沿線に多くのファンを引き付け、最後の国鉄型特急として感動を与えてくれています。
定期列車としての381系の運用終了は6月15日運転のやくも1号です。残りわずかとなったこの編成の見どころである増結編成との連結面で、生山駅到着まで381系に酔いしれたのでした。
【了】
Writer: 坪内政美(スーツの鉄道カメラマン)
1974年生まれ、香川県在住。いつでもどこでもスーツで撮影に挑む異色の鉄道カメラマン・ロケコーディーネーター。各種鉄道雑誌などで執筆活動をする傍ら、予土線利用促進対策協議会のアドバイザーやテレビ・ラジオにも多数出演するなど、鉄道をワイフワークに活動している。著書に「鉄道珍百景」「もっと鉄道珍百景」「駅スタンプの世界」「100万キロを走ったセドリック」(いずれも天夢人刊)がある。
コメント