初公開! 空母化した護衛艦「かが」艦内も見てきた 戦闘機運用のための注目ポイントは?
艦橋にも戦闘機運用に必須の装備が。
姉妹艦「いずも」も改装に着手済み
ステルス戦闘機F-35Bの運用能力を持たせるため飛行甲板などの改修工事を行っていた海上自衛隊の護衛艦「かが」が2024年4月8日、報道関係者に公開されました。同艦では艦長の國分一郎1等海佐自ら報道陣を案内、飛行甲板だけでなく航空管制室などの艦内も見ることができました。
「かが」は、海上自衛隊最大の護衛艦である、いずも型護衛艦の2番艦です。ヘリコプターの同時発着艦が可能なよう、空母に似た、いわゆる全通甲板型の形状をしているのが特徴で、横浜市にあるJMU(ジャパンマリンユナイテッド)磯子工場で建造され、2017年3月に就役しています。
一見すると、既存のひゅうが型護衛艦に似ていますが、任務の多様化や陸海空自衛隊を一体的に運用する統合運用体制の整備を踏まえ、航空機運用能力や指揮統制能力が一層強化されているのが特徴です。
船体の大きさは全長約248m、幅約38mで、ヘリコプターの発着艦スポットは左舷側に5か所。定数はSH-60哨戒ヘリコプターが7機、MCH-101掃海・輸送ヘリコプターが2機の計9機ですが、必要に応じて最大14機まで搭載可能となっています。
2018年末に政府が決定した「防衛計画の大綱」(防衛大綱)と「中期防衛力整備計画」(2019~2023年度)では、STOVL(短距離離陸・垂直着陸)タイプの戦闘機であるF-35Bを導入し、洋上運用できるよう、いずも型を事実上の空母へ改修することが明記されました。
まず1番艦の「いずも」ではF-35Bを発着艦できるよう最低限の工事を行った後、「かが」では大規模な改造が施されました。具体的には艦首形状が台形から四角形に変更され、アメリカ海軍の強襲揚陸艦のような外観となっています。併せて飛行甲板上の耐熱塗装や標識の塗り変えなども行われています。同艦の第1回特別改造工事はJMU呉事業所で実施され、2024年3月29日に完了しています。
搭載するF-35B戦闘機は、2024年度予算に7機の取得費が盛り込まれており、新田原基地に「臨時F-35B飛行隊(仮称)」が新設される予定です。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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